第5話 俺の名は...

{此処は魔法ギルドの接客室。}


「お待たせしました。スクロール2枚と魔法書が一冊の売値ですけども。」

「スクロールが1枚で、1千ベルクになります。〆て2千ベルクですね。」

「魔法書は、とても珍しい物でして、5千ベルクで買い取らせて頂きます。」

「合計で7千ベルクで、買取させていただきます。宜しいですか?」


はい、7千ベルクで、お願いします。


「大銀貨1枚と銀貨2での、お支払いでも宜しいでしょうか?」

それで、かまいませんよ。


「では、お確かめ下さい。」

確かに、ありがとうございました。


「また、何かありましたら、宜しくお願いします。」

その時は、是非とも。


(7千ベルクで売れたよ。俺は魔法何って使えなかったから、損とは全然思っていない、逆にいらない物が高額で売れて嬉しく思う。)


宿に戻ってから、買い取った皮をなめす作業でもするかな。

町を出るまでに、この作業を終らせとかないとな。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


塩漬けにされている皮を、水に浸けて戻す作業から始める。


塩漬けにされた皮は、水に浸けてから1日放置しておく。

そうすると、腐敗止めの塩が無くなり、柔らかくなる。


そして、窯の灰と水を桶に入れて、数日置いておく。

終ったら、水で綺麗に灰を洗い流しておき、後に、

オーク樽に水と樹液を入れて、また一日置いておく、

取り出して、乾燥させて、水につけてを何度か繰り返す。


そうすると、上質ななめし皮に変化していくのだ。


{植物タンニンで、皮をなめしてる。}


町の皮職人は、裏すき作業や脂抜き作業を確りするから、

旅の皮職人より、上質な鞣し皮になるのだ。

売値も、倍の値段違う。毛触り、匂い、全てが上だ。


定住先が無い、旅人には旅人の良さもあるのだ。

定住していたら、違う動物の皮を扱えない場合や

収穫する動物が、減った時に困るのである。

どっちが良いとは、一概に言い切れないのである。


まだ腕を磨かないと、定住した時に通用しないで、

直ぐに廃業してしまう。


だから俺は、旅を続けるのだ、腕を磨くために。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{この町を、発つ日がやって来た。}


この町では、8.800ベルクの売り上げがあり

経費が、618ベルクで、差し引きで8.182ベルク

儲けさせて貰えた。


これで、次の街までの、路銀は確保できた。


さ~出発しよう。


(次は、南にでも行ってみようかな。)

(そのまま南に進んで、違う大陸に渡っても良いな。)


{アイテム袋を背負ってるので、手にはクロスボウを持ち}

{魔獣の襲撃されても、何時でも迎撃できる様にしている。}


今までの旅より、楽になって大助かりだ。

武器も手にいれたし、此れで追い回される事も無くなるはずだ。


{見えて来たのは、鬱蒼うっそうとした森だ。}


おっ、丁度いい、木の樹液を採取して行こう。


{このような場所は、近くの皮職人が、木に傷を入れて、樹液を採れるようにしてる事が多かった。}


あった、あった、此処がいいな。

一瓶だけ、貰って行こうかな。


日時計で、1時間位は掛かるので、森を出て街道に戻った。


花の花粉も、瓶に入れてと、この木の枝は何かに仕えそうだな。

仕えそうな物を、色々とアイテム袋に入れていった。


そうこうしてたら、一時間を過ぎたので、先程の場所に戻ってみる。


うん、瓶が一杯になってるな。

よしっ!これで作業をする時に仕える。


街道に戻るか。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{街道に戻ったので、先に進んだ。}



んっ!誰か魔獣に襲われてる。


バシッ!


カン...


ぐるるる。


次弾装填、落ち着け、落ち着いて装填すれば、大丈夫だ。


{レッドウルフが、こっちに向って迫ってくる。}


バシュ!


カン...


レッドウルフは、危なげに矢を避けている。

そして暫しの睨み合い。


装填、装填、ナイフを口に咥え、クロスボウに矢を装填した。


{土手の上に、積まれていた丸太が、突然落ちてきた。}


きゃいん


{急いで逃げていく、レッドウルフ。}


何で丸太が、落ちてきたんだろう?

(矢を回収しながら、考えていたら。)


{丸太を止める、ロープが俺の放った矢で、切れていたのだ。}


神様、ありがとうございます。

これは、神様が助けてくださったのだ。


「助けていただき、ありがとうございます。」

いえいえ、お怪我はありませんか?


「転んで膝を擦り剥いた位ですよ。」

薬草を持ってますので、手当てしますので座って下さい。


「大丈夫です。この程度の怪我なら、自分で治しますので。」

えっ!?


「ヒール!」


{傷口が光ったと思ったら、綺麗に消えていた。}


ドルイドの方だったのですね?

「はい、治療とかしか出来ませんけど。」


治療士の方は、貴重な存在ですよ。

「そうなんですかね?」


「申し送れました、私はドルイドのアンジェリク・ジェロームです。」

俺は、皮職人です。


「お名前をお聞きしても、宜しいですか?」

名前はありません。だから何時もは、職人と言うのです。


俺は、孤児院で育てられ、名前も番号でした。

だから、俺の名前は、25番って事になります。


「そうだったのですね、私で良ければ名前を付けましょうか?」

「ドルイドは、司祭とかもしていますよ。」


俺に名前をくれるのですか?

「神の名において、貴方に名前を授けましょう。」


「レオン・ラサル。今日から貴方は、レオン・ラサルと名乗りなさい。」

ありがとうございます。


俺は、レオン・ラサル...レオン!

「そうですよレオン。」


「レオン、貴方は何処に行くのですか?」

俺は南に向って、当ての無い旅をしています。


「私と一緒に、旅をしませんか?」

えっ?でも俺は男ですよ?


「私は女性です。魔獣に襲われても、何も出来ないほど弱いです。」

俺は、強くないですよ?良いのですか?


「助けてくれたじゃないですか?その勇気があるだけで強いです。」

はぁ~そうなんですか?


「そうなんです。」

「だから、私と一緒に旅をしましょう。」



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