革命前夜


わたし、怖いの


こんなに幸せでいいのかなって


でも明日からきっと、みのまわりすべてが変わってしまうんだなって


あなたはたぶん子供のころからこういう環境になれているだろうけど


わたしは違うから 


怖いの




怖がることなんかないよ


ぜったい、なにがあっても俺が君を護るから


しあわせになることをおそれてはいけないと思う


みすみす手放すなんて、ばかげてるだろう


こう考えてみるのはどうかな


目のまえのご馳走を君は、毒が入っているんじゃないかと手を付けない


でもそうしている間に他のひとが、そのご馳走を食べてしまうかもしれないよ




あなたの考え方は露骨で時々呆れてしまうけど


でも今は信じる











彼女の裏切りにはもちろん気がついていました。


でもね、話をしているうちに気がついたんです


法で彼女の行動をしばることはできても、彼女の心を変えることは出来ない


すなわち、人間には内心の自由があるとね


ぼくは彼女を許します


いつだったか、なにがあっても君を護ると約束しました


そのことがあるから赦す、というわけでもなくて


ただ、気がついたんです


どんな法も、個人も、人の心を縛ることは出来ないと








私は確かに以前夫を裏切りました


けれども長年同じ時間を共にし、多くの困難を乗り越えてきた同士です


誰よりも私を理解し、支えてくれたのは夫でした


そのことに深く感謝しています


私が現在首相の職に就いているのも、すべて夫のサポートのおかげです


国民のみなさん、わが国は今、未曽有の危機に直面しています


けれどもわたくしの眼前は明るく開かれている


なぜなら、わたくしは三度も危機を乗り越えてまいりましたから


一度目はスキャンダル、夫婦の危機


二度目はこどもの難病が発覚したとき


そして三度目は、首相就任時の激しいバッシングの嵐です


わたくしはすべてを乗り越えてここに参りました


国民のみなさまと歩みを同じくして


心は常にあなたがたひとりひとりの隣においてきたつもりです


全ての人に等しく、光あれ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る