第7話  ブラームスVn&Pfのための全曲演奏会

関西に台風が来て被害が伝えられている、大変だなあと画面に目をやったら、北海道に地震が来ていた。どうしようか。

個人的にも、コンサートに行こうか迷っていた。

先月先々月と、家族にいろいろあってけっこう疲労がたまってコンサートに行って命の洗濯したいが、のどがチクチクして咳が出る。

ダメだこりゃと思ったけど、演奏家とプログラムのおかげか開演に間に合う時間に体調が上向いて、行けそうだ、行こう、となった。


ヴァイオリン:セルゲ・ツィンマーマン ピアノ:伊藤恵


ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第2番、第1番「雨の歌」 

休憩

「F.A.E.ソナタ」よりスケルツォ ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第3番


独特の味わいがあって、3曲とも好きです。

初演のヴァイオリンは19、20の頃からの付き合い、年の近いヨゼフ・ヨアヒム。ピアノはクララではなかったかな。もう引退に近い年になっていました。しかし、プライベートにも演奏したでしょう。

優しく人を包むように、傷をいやすように感じられるのは、私自身が求めているからかな。


作曲した時期は、45歳から55歳の間。長い間かかった交響曲第1番、続けて第2番を完成させた後、大作曲家としての確固たる地位を築いてからの作品です。

「F.A.E.ソナタ」のスケルツォは、駆け出しの19歳のときのもの。シューマンとシューマンの弟子でブラームスの生涯にわたる友人となったディートリヒとの合作ソナタ、担当したひとつの楽章でした。シューマンが最初から認めていた輝き。すでにブラームスらしさがあります。生でじっくり聴いてより深く感じました。


セルゲ・ツィンマーマンは、漆黒の髪、服も黒一色で白い舞台の壁に映える若いヴァイオリニスト。

伊藤恵さんは白光りする黒地に白のレース模様がボーダーに入った、裾回りが広がりすぎないドレスをお召しでした。

前回おひとりで朱色のドレスでピアノの横に立たれた姿は、ピアノの化身のようにひとつの風景として心に残っています。今回は、ヴァイオリニストを引き立てつつもやはりピアノの化身で。私の憂いを吹き払い、優しい世界に誘ってくれました。














  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る