第6章「見聞」
「ここが魔王軍の中枢…クーズー城だ!!どうだ?すごいだろぅ??」
魔王軍幹部の一人オームは、まさに"ドヤ顔"といった自身に満ち溢れた表情で、先日王国北部で捕らえた奇妙な2人組…亜人の研究家を名乗る人間の男と、見た目麗しいエルフと呼ばれる亜人の女を案内している最中であった。
「へぇ…ここがかの魔王の治める地ですか、、、はいっ!とても禍々しくて重厚感が感じられますね」
「ソフィー…それは褒めていないのでは…」
「そうだろう?そうだろう??…やはりお前は見る目があるな!!」
「ありがとうございますオーム様!!」
「……」
そしてエルフのソフィーとフォーブルは、機嫌の良さそうなオームを尻目にヒソヒソと会話を交わす。
「それで先生、ここからどうしますか?」
「とりあえず魔王とやらに会ってみよう。あのオークがいれば殺される心配は無いだろう」
「そうですね…もう少し"手懐けて"おきますか?」
「…い、いや…もう十分なんじゃないか?」
「そうですか」
フォーブルは若干の怖さを感じつつも、自分たちが"敢えて"捕まったことの目的を果たすべく常に辺りを見渡しながら進む。
本来人間よりも数段と文明的なレベルが低いとされている亜人たち(中には例外もいるが)だが、このように非常に高度な巨城とそれを守る見たこともない防衛施設は、かなり高度な技術が用いられていると推測することができるだろう。
それだけではない。
都市を囲う幾重もの防壁や、都市に建てられている建築物。そのどれを取ってもこの森に突如として現れた文明は、この世界にあまりにも"不釣り合い"な技術や発想を常に感じさせられる。
フォーブルは目の前の魔法的な技術すらも感じられる巨大な城を見ながら改めて思う…
やはり魔王とやらは…。
「…せい!先生!!」
「ああ、すまん」
「おい!そろそろ魔王様たち幹部の方々の部屋だ!!このオーム様とて常に緊張しているのだ!お前たち、いくら美し…え、珍しいエルフに人間だからと言って気を抜いている許さんぞ!!」
「ごめんなさいオーム様…先生はこのお城のあまりの荘厳さに緊張されているみたいで」
「そ、そうか…なら良いのだ。おい!フォーブルとやら!くれぐれも気を抜かないように」
「は、はい」
そして一行は黄金色に輝く巨大な扉の前に立つ。
「すごい扉ですね」
「そうだろう??ダークドワーフたちが丹精込めて…じゃない!そういった話は後だ!」
「ダークドワーフ?!?!失われたはずの亜人だが、ここにいるのか?!?!そうか!この都市の建築物はダークドワーフたちが…」
フォーブルは興奮が抑えきれない様子で話をし始める。
その様子にオームは怒りを感じて動き出そうとするが…
「先生?静かにして下さい」
強者と呼べるオームにすら捕らえられない動きで、いつのまにかフォーブルの目の前に移動していたソフィーが宥めていた。
「エルフ…ソフィーと言ったな?お前…」
オームが口を開きかけたその時、精巧に作られた黄金の扉が開き始める。
「?!あれは?…」
そして2人の前に姿を見せたのは…
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