足と赤子

 まぁ、合わせ鏡をして遊んでいたのですか?それはいけませんよ。


 確かに色々な所で確かに合わせ鏡は使われています。


 ですが、鏡には不思議な力が備わっています。なので、それを合わせるのは短時間にしないといけませんよ。


 これはとあるおばあちゃんの話。




 一つ、私の恐怖体験かと思ったことを話しましょうか。


 私はその時、合わせ鏡が置いてある部屋に寝ておりました。ちょうどベットは鏡と鏡の間にあります。


 その日は疲れておりましたので、早めに寝付くことができました。ですが夜中に尿意を催したので目を覚まし、お手洗いに行こうしました。


 しかし、足が重たく動かないのでございます。何事かと思いましたが、尿意には抗えずお手洗いまで重い重い足を引きずりながら行きました。


 この足がどのように重たいかをお話しますと、まるで足に錘がついているようでございます。これではごく当たり前な感じですが、私の目には足が進まぬように赤子が捕まっているのが眠たいながら見えました。


 その後、お手洗いで用を足しましたのち、ベットへ入るのですが足が重くなかなか寝付けないのでございます。


 私はそんななか今日1日を振り返るのでございます。


 朝、いつもより少し早く起きいつもの流れを行いました。別段、変わりはありません。


 その後、病院へ行きました。その病院は所謂気が悪いと申しましょうか、空気がどんよりした感じを毎度毎度感じておりました。そんな中で懐かしの仲間に出会い少し、昔話に花を咲かして帰途に着きました。


 その後、物を取りに家へ帰り、実家に帰省しました。


 この間で私は一日の三分の一を消費しました。別段、不思議なことではございません。だいたい、外に出歩くことでこれぐらいの時間を消費はします。


 また、変わったことと言えばその懐かしの仲間が異常に細くなっていたということでしょうか。もう歳も歳ですのでお迎えが近いのね、オホホ、なんて会話をしました。


 あとは久しぶりの外出でしたね。これぐらいです。後は特に霊がつく場所などには行っておりません。


 そんな事を考えておりますと、スッと眠りに入りました。


 その後は何も起こっておりません。朝起きたら足は軽くなっており、夜のことは夢だったのではないか、などと思っておりました。




 そして、よくよく考えたら、移動の時はほとんど歩いていましたではありませんか。つまり、あの足の重さは筋肉痛だったのかと。私は馬鹿馬鹿しくなりました。


 きっと、あれは筋肉痛だったのだろう。赤子などみていなかったのだろう。そう思った、これで私の話は終わりです。




 これはもしかしたら、本当に筋肉痛だったのかも知れません。


 ですが、考えてみて下さい。その部屋は合わせ鏡だったことを。そして昼間、気が滞っていた病院に行ったこと。昔に比べて異常に細くなっていた友達のこと。夜中、足に赤子が捕まっていたこと。


 合わせ鏡はどこかの通り道を繋げます。もしかしたら、赤子はどこかで別の"もの"かも知れません。それにもしかしたら、その記憶すら別の"もの"で、このおばあちゃんも...かも知れません。


 または、ただ単に偶然が重なっただけかも知れません。


 合わせ鏡の長時間使用にはご注意を。


 ではまたどこかで。

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怪奇集~暑い夜のお供に~ 綿麻きぬ @wataasa_kinu

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