ゆめ?夢?げんじつ?現実?
あらあら、夜も更けているというのにお会いするとは。あなたも随分と物好きなのですね。えっ、そういう訳ではないですって?しかし、夜はあなた達の時間ではないのですよ?でも、夜以外にもあなた達の時間ではない時があるのです。
それは夢をみているとき。
これは夢と夢、現実の区別がつかなくなってしまった少女の記憶である。
それはある春の頃だっだのかな?ポカポカして、いい風が吹いて、眠たくなってしまった、という言い訳でうちは授業中に寝ていた。
その時、夢を見たことは確かなのだが何を見たのかは覚えていない。夢から覚めた原因は先生の私を呼ぶ声である。
「おい○○、そこの問題を解いてみろ。」
「ほぁい!分かりません!」
「じゃ、寝るな。」
「はーい。」
こんな掛け合いをしたが、うちはまた夢の中に入りそうにうつらうつらしている。そんなうちを夢の中に入らせないようにチャイムが鳴った。
そんな出来事があったことなど忘れて、1週間後ぐらいの数学の授業のとき。うちは小テストを解いていた。
なんかこの問題スラスラ解けるぞ。あっ、一回見たことあるからか。でも、どこで?問題集には出てこなかったような。まぁ、いっか。
なにか心に引っかかるような気がするが何だか分からない。そしてまた、忘れてしまった。
それから幾日か経った夜の夢でうちは定期試験を解いている。今回ははっきり覚えている。問題も答えも鮮明にね。それは何故か怖くもあり、嬉しくもあった。
その夢は忘れられなかった。何故かうちを惹き付けるような不思議なもののように思える。
それから夢で解いた問題を思い出すだけで試験勉強などは一切しなかった。私は何の確証もないがあの夢の問題は現実の問題と一緒だと確信して、その確信は揺らぐことがないまま試験を迎えた。
試験当日、その確証は合っていたことが証明された。うちは夢を見た時の怖さなど何処かに消し去ってしまったように喜んでいる。そして、そのテストはうちから見れば当たり前のように満点。
その後から毎日夢を見るようになっていった。最初はそれが夢だと気づかない。夢から覚めて夢だと気づく。次第にそれは夢であると気づいていった。
夢だと気づいてから夢なのだから何をしてもいいのではないか、と思い色々思い始めた。最初はお母さんに夕食の晩御飯をうちの好きなものにしてと言う程度だった。そしたら、現実では好きなものばかりの夕食だった。
そして、だんだんエスカレートしていく。うちはある日、友達の持っているリップが欲しくなった。お金はない。魔が差したのだろう、夢の中で万引きをした。夢なんだから良いじゃないか。もちろん、夢が現実に影響を及ぼすことを知っていて。
目が覚めたらうちの机の上にそのリップが置いてある。その時初めて、心の底から恐怖を感じた。その恐怖は誰にも言えない。言ったとしても誰も信じないし、逆に疑われる。
それでもうちは自分の欲望に負け、万引きを繰り返す。そして、うちの部屋には買ってもいない物が増えていく。ある時、これなら自分の夢が叶えられるのではないかと思った。だって、夢が現実になっていくのだから。
それからうちは夢の中で夢に向かって頑張った。具体的には勉強したり、運動したり。今までのことなど忘れてしまうぐらいに。現実では成績も上がり、みんなから認めてもらい、万々歳だった。
全ては順調に思えた時、先生からホームルームの時間に
「我が学校に万引きの通報が△△店から入った。まだ誰だか分かっていない。心当たりがある人は教えてくれ。」
ということを言った。うちはバレたのではないか、チクられるのではないか、不安に怯え続ける。
不安の中、夢でうちは友達にチクられた。それに気づいたうちは友達と先生を消した。
ここでうちは終わる人間じゃない。まだまだ、人のために生きていなきゃいけない人間なんだ。
起きたら、先生と友達が学校からいなくなっていた。うちは焦る。だってあれは夢なのに。
その日、うちらは家に帰らされた。夜、家のチャイムがなる。警察と名乗る人が玄関にいる。
うちはもう終わりだと思い、いつの日か夢で手に入れた拳銃を手に取り、引き金をひく。
あぁ、うちは夢を見ていたんだ。怖い、怖い夢を。
目が覚めたらきっと.....
どうでしたか?あの少女は本当に夢と現実を行き来していたのでしょうか?もしかしたら、全て夢だったのでしょうか?それとも全て現実だったのでしょうか?
あなたは夢と現実の区別がつかなくなったことはありますか?もし、つかなくなってしまったたしても、犯罪だけはしてはいけませんよ。そして、夢が夢になりませんように。
また、いつかどこかで会いましょうね。
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