KILL HIM
あらあら、またお会いしましたね。
今回は神と現代社会、悪霊と精神病。
それらは本当に同じものなのか、または相反するものなのか?
これは神学校に通っていた男子中学生が大人になってから語ってくれたお話。
あなたは現代社会を信じる?それとも、その人の体験を信じる?
僕は一つ、一生忘れられない出来事があるんだ。
それは僕の心霊体験ってところかな。
あれは一体なんだったのか、現実だったのだらうか。
それすら怪しくなってきたけど、それはいつか君たちの前にも現れるかもしれない。
これを語るってことはそいつの存在が大きくなるかもしれない。
でも、直感が語れって言ってるんだよね。
それは僕が中学2年生のときに出会った。
夜中の午前3時、いつものようにパチリと目が覚める。
そして時計をみて、いつものように時間を確認する。
それはいつもと同じ夜中の午前3時。
ただ、今日はいつもと違った。
部屋の隅から声が聞こえる。
何か聞こえるけど、何を言ってるかは聞き取れない。
その時は眠たいという身体の方が勝ち、知らないと思って寝た。
また、翌日からどんどんその声は大きくなり、近づいてくる。
「KILL HIM KILL HIM KILL HIM」
最初は無視してたんだけど、ある時そいつに声をかけたんだ。
お前は誰だ?誰のことを指すんだ?
もちろん、相手が英語だから英語でね。
だけど、ただひたすら
「KILL HIM KILL HIM KILLHIM」
の繰り返しさ。
声が聞こえ始めてから1ヶ月後には、声は耳元で聞こえるようになった。
僕は必死に主の祈りを唱えている。
ここは神学校っていうのになんでこんなのがいるんだよ、って思いながら。
主の祈りを唱えているとその声は遠くなっていった。
それで僕は安心して寝た。
ただ、次の夜中からはもっと恐怖体験が待っていたんだ。
またリセットされたように部屋の隅から声が聞こえる。
そしてそこには目と口が空中に浮遊している、声とセットでね。
まるでチャシャネコのように。
そりゃもう、怖かったさ。
それから毎日、目を覚ましたら主の祈りを唱えたよ。
そして、それはまた1ヶ月後にもう顔の近くまで来た。
怖くてその時はひたすらにいつも以上に主の祈りを必死に唱えた。
声が聞こえなくなったと思って、目を覚ましたら。
目の前に目と口があった。
そりゃ、絶叫だよ。
急いで神父様を叩き起こして、その経緯を話すんだ。
そしたら、次の日には精神病院に連れてかれた。
病名は統合失調症。
現実と妄想の境目がついてないって言ってね。
そこから薬をもらい、飲んでいた。
誰もが僕の言うことを信じない。
薬も飲んだからと思いながら寝るが、夜中の午前3時。
「KILL HIM YOU DO NOT NEED MEDICINE」
これの繰り返し。
それから、僕のとった行動は我ながら速かった。
神父様に頼んでもう一度、部屋をお祓いをしてもらった。
それからは声が聞こえなくなった。
万々歳、そう君も思ったよね。
ただ、それから一回だけそいつを見たんだ。
大学2年生のとき。
僕はチャリ通で大学からの帰り道。
交差点でふと、主の祈りを唱えなきゃって思ってチャリから降りてお祈りしてた。
すると、後ろから男子高校生が追い越した。
その背中にはあの目と口がくっついていた。
そのまま、交差点をその高校生は抜けようとした。
横からダンプカーがくる。
こっちは青信号なのに。
そして、そのまま男の子はダンプカーに。
これが最後にそいつを見た時だ。
あいつはなんだったのか?
HIMとは誰のことを指すのか?
主語は誰だったのか?
僕は分からない。
どうでしたか?
それはこの物語の語り手の病気だったのか?
それとも、それは現代社会が産み出した本当の悪霊なのか?
あなたはどう思いますか?
そして、この物語の語り手にあの黒い結晶をぜひ渡してあげたいですね。
もし、あなたがそれをみたのならば、どうしますか?
神に祈りますか?戦いますか?
それとも、・・・・・・・・・・・・。
ではでは、またいつか。
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