やるせない独白とほんの少しの希望と

どこにでもある話。
と書いてしまうと、世相がいかに荒んでいるかと思ってしまうが、きっとそんな感じに闇はすぐそばに広がっている。
誰も見たがらないだけで。あるいは見慣れすぎてしまったのかもしれない。
少女の独白物だが、この世の中になんの期待もないという裏返しなのだろう。たんたんと語られる言葉はいっそ冷静である。

家族に愛想をつかし家出した少女は身を売り、そんな中、同じように寄る辺のない少年と出会い、疑似家族となった。親子ごっこ、というには少女の少年を見守る姿は純粋でけなげだ。

目を背けたくなるような残酷な場面が登場するが、そこから目を離すことはできない。
ちなみに、題名にある「マニキュア」「膝小僧」は作中に描かれてはおらず、しかし如実に物語を語っている。

暗い先にどんな希望が見えるか、ぜひとも確認してほしい。