「まったく、忌々しい血だよ」


暗い暗い部屋の中、赤い目を光らせる男は憎しみを込めてそう呟くと、真っ赤な液体をぐびっと飲み干す


「そう言ったってどうしようもないだろう?あれだけの魔物の大軍を全滅させる奴をどうしろってんだ?

 残った中でも高位の奴ら十万が全滅だぞ?」

「ったく、そのせいでこっちは何もできなくなったんだよ。二百年だぞ?二百年。アイツのせいで二百年もロスしたんだ」

「俺だってあいつが憎いさ。だからと言って何もできないだろう?」

「いや、そうでもないぞ?」

「あ?」

「グリモーゲン、遅い帰りだったな」

「すまん。面白そうな情報を見つけたもんでな」


新たに入ってきた男はそう言うと、封筒の中から一枚の写真を取り出して、机の上に置く


「ん?誰だ?この小娘」

「ああ、例の奴の仲間だな。どうしてお前がこいつの写真を?」

「こいつに関して面白い情報を見つけたもんでな」

「へぇ、それは、例の奴を殺す材料に仕えそうなもんなのか?」

「恐らく、だがな。使い方と娘の性格を考えれば恐らく大丈夫だろう」

「ちなみに、どんな弱みなんだ?」

「まず、『亡国の悪魔』と言われた夫婦を知ってるか?」

「庶民想いで有名だった王族を殺し、国を滅亡に追い込んだやつだったか?」

「その通りだ。それで、この娘がその『亡国の悪魔』の娘だったことが分かった」

「なるほど、それで脅すというわけか?」

「ああ」


男は頷くと、ニヤリと黒い笑みを浮かべてくくっと笑う

この口からは鋭い牙が見え隠れしていた


「それじゃあ、その脅迫材料からどうやって奴を殺すのか、その作戦を聞かせてもらおうか。成功、するんだろう?」

「ああ、問題ない。間違いなくあの忌々しい『勇者の息子』を殺せるだろう」


そう言った男は、憎悪に満ちた目線で、テーブルの上でズタズタにされている、黒に青いメッシュが入った紙の少年を見ていた


「仲間を失って、さっさと死ねばいい」













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