負けのチャンピオン

一話完結

負けたらおしまい？

んなこたぁねえよ。

負けたあとおしまいにするから負けになんだよ。

負けたということは何か学べたということだよ。

負けたから何か勉強できたということだよ。

大事なのはよー、負けても退かねえことが大事なんだよ。

退いたあとの怖さっつーのは自分に愛想がついちまうことだからなぁ。

俺が一番怖れてることは負けることよりも退くことが怖いのさ。

退けば飢えた野犬どもから一斉に飛びかかられちまう。

その中の一頭に自分も入ってんだからなぁ。

失敗と負けは人生につきものさ。

とあるアメリカの大手企業ではよぉ、

あなたは今までどんな大きな失敗をしてきましたか？と面接で聞かれるそうだ。

そして、その失敗で何を学びましたか？どう活かされましたか？と聞かれるそうだ。

あんたならそこでどう応える？

今後失敗しないように気をつけようと思いました、と答えるかい？

まぁそれが当り前の答えだと思うがよぉ、

なんか俺は悔しく思うんだよな。

なんか自分自身を否定しちまったようでなぁ。

失敗したよりも自分を否定してしまったことに後悔しちまうよ。

反省の色を見せるというけどなぁ、

もちろん反省はしなきゃいけねぇ、周りに迷惑がかかったんなら謝らなきゃいけねぇ、

けどそれで終わったらダメだと思うんだよな。

失敗が水の泡になっちまう。

しかもその水は海水で体に傷みをともなっちまう。

失敗を終劇にしちゃいけねぇ、序章にしねえとな。それにストーリーを書きたすべきなんだよ。

短編で終わらしても誰も読んでくれねぇさ。

俺は負けも失敗も食い物にしてやるよ。

廃棄物にはしねぇ。

燃えるゴミの日にも出さねえよ。

なに？失敗と負けは燃えねえって？

ハハハ、うまいこというねぇあんた。

まあ、そういうことだ、

ただの負けのチャンピオンのひとりごとだと思ってくれ。