偏差値15 マイン、修行参加する。
修行が始まってから一週間たった。
ケイはミカヅチさんと剣の稽古をし、基礎的な技を習った。
俺はミツハ、カグツチさんに魔法を教わり、簡単な中等魔法、神魔法ができるようになった。
神魔法は神が使う魔法、それぞれの神固有の魔法だ。しかしその神しか使えないというわけではなく、相応の魔力と仕組みさえわかれば誰でも使えるのである。しかし、神にはプライドがあり、他の神の神魔法を使う神は少ないようだ。
だが、俺は人間。プライドも何もない。なのでカグツチさんたちの神魔法をいくつか教わった。自分オリジナルの魔法を他人に使ってもらえるのは嬉しいらしい。自分独自の語呂合わせを使ってもらえるのと同じような感じだ。
カグツチさんの神魔法は「神殺しの炎」、ミカヅチさんは「天御雷あめみかづち」や「神剣十拳とつか」などの雷や剣技。ヤマツミさんは「山操作」、ミツハさんは・・・秘密にされた。イハサクさんは「筋肉こそ我が力なり!」と言っていた。神魔法がないのだろうか。
いくつかは使えるようになったのだが、使うにも一種のセンスが必要で、覚えるのが難しい。それでも神魔法は強力なので頑張って使えるようにしている。
ケイは魔法が使えないが、「身体強化』だけは使える。魔力を使い、身体能力をUPする魔法だ。あまりにも基礎的な魔法なので魔法だと認めない人も多い。一応ケイにも少しの魔力があるので、使えるが、筋力が少し常人に毛が生えた程しか上がらない。ミカヅチさんとの稽古で使ってみたり、試してみたりしたらなんと俺の魔力の一部を使えることがわかった。一つの体に二人の魂が入っていることなんてなっかなかない(というか無い)のでカグツチさん達も知らなかった。
「身体強化」を使うとミカヅチさんやイハサクさんに劣らぬ力が出た。普通の「身体強化」ではここまでの力は出ないので一瞬神様達に力比べで勝ちそうになった時かーなーり驚かれ、青ざめていた。
ある日、ケイがいつもどおりミカヅチさんと剣の技を習っていると、修行場の端にいたイハサクさんが吹っ飛んでケイのすぐ後ろを飛んで昼寝をしていたヤマツミさんにぶつかった。全員(イハサクさんとヤマツミさんを除く)は驚いて一瞬固まり、飛んできた方向を見ると・・・マインが居た。マインは驚いた表情で自分の手を見ていた。
(ヤマツミさんとイハサクさんはミツハさんに治療されている)
「え・・・と、どういうこと?」
「ワ・・・ワシが・・・変なモンスターが来ていないか修行場の周りを見回っていたら・・・その・・・お嬢ちゃんが・・・おってな、何でココに居るのか・・・聞いたら、殴られて、・・・ふっとばされて・・・・・・ごふっ」
かなりダメージを受けてる。口から血を吐いてる。
「殴られたらふっとばされた?殴られただけでは吹っ飛ばないだろう?」
「ほ、本当だ。殴られて・・・思いっきりふっとばされたんだ。」
「えーーと、マインちゃんだっけ?本当に殴っただけなのかい?」
「え・・・え?あ、はい!急に後ろから声をかけられて怖かったのでつい殴っちゃいました!すみません!」
パニクってる。そりゃそーだ。普通殴ってもあんなに吹っ飛ばない。
「ふーん。イハサクはいかついからね~声かけられたら怖いよね~。私でも殴っちゃうかも♪」
ミツハさんが笑顔で言う。
「わ・・・笑い事じゃないぞ!その子のパンチ、かなり痛いんだぞ!たぶんミツハ、お前の20年前のあのパンチ並みだぞ。」
「うるさいわね?黙って治療されなさい!」
「ぐあっ・・・そこ殴られたとこ!」
おそらくこの中で一番強いのミツハさんだな。
「まあまあ。でもただ殴っただけじゃあそこまで吹っ飛ばないし、・・・スキルか?」
「スキル?」
「そうだ。この世界には『スキル』と呼ばれる能力を持っている人モンスターたちがいてね・・・ソウタくんの場合、『パンドラボックス』と『全言語文字理解』がスキルだね。」
「ああ・・・なるほど。」
「たぶんマインちゃんもスキルを持ってるんじゃないかな。えーーーと。」
あのルーペみたいなものでマインを覗いた。
「そのルーペはなんですか?」
「これは『識者の目』と言ってね、覗いた相手の情報がわかる魔道具だよ。分かる情報には制限があるけど基本的なことはわかるよ。・・・・・・やっぱりスキルを持ってる。」
「どんなスキルですか?」
「『狩る者ハンターファイター』だね。魔力の強い者に対してその魔力量に比例して自分の攻撃力を高めるスキルだ。イハサクは神だからね。魔力量が多いからダメージが大きかったんだな。」
「神!?イハサクさんたちは人間じゃ・・・」
「あー、秘密だったね。マインちゃんには話そう。そのスキルは危険だしね。」
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「理解できた?」
「・・・すごすぎて良くわかんないです。」
「そこまで深く考えなくていいよ。実は私達は強くて、ソウタくんはもっと強くて、ソウタくんとケイくんを修行させている、と考えてくれれば。」
「それがよくわかんないんです!転生したのは知ってるけど、神様より強くて、ケイも神様達と同じくらい強いなんて!」
「最近わかったんですけどね。」(ケイ)
「そーだよ。まさか俺の魔力を使って『身体強化』ができるなんてね。」
「くぅ~~。私の方がケイより強いと思ってたのに~。」
「ん?マインちゃんは剣ができるのかい?」
「できないです!魔法が使えます。」
「そうなんです。魔法使えるし、殴るの強いし、喧嘩したら絶対に勝てないんです。」
「・・・へぇ。でも今だったら・・・どーだろ。たぶんソウタくんの状態のケイくんを殴ったら勝てるね。」
カグツチさんひどい!
「じゃあ私のほうが強いの?」
「でもソウタくんは中等魔法とか覚えたからね。魔法の勝負になったら、ソウタくんのほうが強いね。喧嘩したら引き分けじゃないかな。」
「ぐぅーー。」
悔しそう。そんなにケイに勝ちたいかね。
「ところで何でマインちゃんはここに来たの?危ないよ?」
「ここ最近ずっとケイがカグツチさん達と一緒に森に行ってるから気になって何してるのかなぁ~っと。」
「一人で?」
「うん。他の子は怖いから行きたくないって。」
「ここは森の奥だし、上位モンスターも出てくるから襲われるかもしれないし危ないよ?」
「え?でも私、ケイとソウタと一緒にこのあたりまで来て狩りをして、上位モンスターも十頭ぐらい倒したし、ね?」
「え、えぇ・・・そうです。最初マインが殴ったところを僕とソウタでとどめ、ですね。ハングリーベアを五頭、ビッグラビットを二頭、グランドスライムを二頭、グアミミズクを一羽を倒しました。ハングリーべアは二頭はマイン一人で狩っていましたね。」
「そ、そんなに?上位モンスターって下手すると大人でも死ぬことがあるんだよ?それを子供二人で?」
「そうですよ?今思うとマインのパンチの威力が高すぎましたねいつも殴られていたのであれぐらい普通と思っていました。」
(俺はちょっとおかしいと思ってたぞ!)
異世界だし、こっちと違うのかなぁ、と。
「ああ、やばいな。上位モンスターを一人で倒せるほどか。確かにスキル的にはいけるな・・・。うーん。」
「この子をイハサクとヤマツミに修行させるのはどうかしら?」
治療が終わったみたいだ。
「何を言い出すんだ。ミツハ。」
「この子はかなり強いわ。このまま放っといたら強いモンスターに挑んでやられるか、化物みたいなハンターになってしまうわ。」
「え?そんなにですか?」
「そうよ。あなたのスキルは思っているより危険。だけど正しく使えばかなり強い冒険者になれるわ。ケイくんとソウタ君にタメをはれるくらいね。」
「そうですか!ミツハさん!」
目を輝かせてる。
「使いこなせればね。アタシたちはケイとソウタを修行させてるけど、イハサクとヤマツミはあまり仕事してないからね。」
「ワシもやってるぞ!」
「岩で遊んでるだけじゃないの。」
「遊んでるだけって・・・」
「じゃああなた達は魔法を教えられるの?」
「お、教えるのは・・・」
「マインちゃんのスキルは格闘系だし、あなた達にぴったりじゃない?ヤマツミだって木をうまく使って攻撃の練習台とか作れるでしょう?どーせヒマなんだからやりなさいよ。」
「「ええ??ヒマって!」」
「ヒマでしょ!特にヤマツミ!あんた時々寝てんじゃん!」
「はは。事実ですね。私が得意なのは植物魔法なので、特に教えることはないと思っていたのでねてたんですけどね。」
「決定ね!私達がソウタくんとケイくんを教えるから、イハサクとヤマツミはマインちゃんを教える! これでマインちゃん!一緒に修行できるね!」
「はい!がんばります!」
「「えええ??」」
「グダグダ言わない!はい!修行の続きするよ!イハサク!ヤマツミ!ちゃんと教えるんだよ!」
「「は~~い。」」
こうしてマインが修行仲間に加わった。正直俺が殴られた時どうなるのかわからないし、俺を殴らないようちゃんと言っといてほしい。
それから二週間後の夜ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ソウタ君、ソウタ君。」
「ん?・・・」
誰だ?こんな夜に・・・?
「ソウタ君!起きて!」
「・・・うわっ!パンドラ様?・・・なんでここに?・・・・・・少し光ってるんですね。」
体の周りが少し光っている。神だからか? 派手な衣装だな。
「起こしてゴメンね?君の魔力を減らす方法がわかったんだ。明日、カグツチ達とこの村の裏にある岩山に行ってね?行けばわかるから!」
「裏山?行けばいいんですね?カグツチさん達には伝えたんですか?」
「まだだよ。君から明日教えてあげて!じゃあね!」
「あ!」
手から魔法陣を空中に出して消えてしまった。この方法で部屋に入ってきたのか。・・・不法侵入。
明日裏山に行けって?何するんだろう? 眠いし、寝よ。
続く。
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