偏差値14 修行開始!

  「・・・・・というわけでしばらくお世話になります!宜しくおねがいします!」




あのあと、事情を村長とメンデルさんに話した。納得してもらって五人はこの村に滞在することになった。村長は驚きすぎてパニックになりかけたけど、メンデルさんは冷静だった。すごいな。翌日、村人全員に挨拶をした。五人全員魔法が使えるので、農作業を手伝う代わりに村に住まわせてもらうことになった。




「じゃあ行こうか。」


「え?どこにですか?」


「ソウタとケイを修行させなければいけないからな。山に行って修行するぞ!」


「今からですか?(ケイ)」


「そうだ。今からしないでいつするんだ!」


(今でしょー(古い))


「そうだ!いくぞ!」


カグツチさんが苦笑いしていた。






「ふむ、結構環境の良い森ですね。」


大山祇神様、いや、ヤマツミさんが木をさすったりして調べている。


「どうだ。ヤマツミ。いけそうか?」


「この森なら大丈夫そうです。問題ないと思います。」


「ならやってくれ。」


「わかりました。少し揺れると思いますが、騒がないでくださいね。」




そういうとヤマツミさんは地面に手をおいてブツブツと唱えた。


すると、森が揺れ始め、木が動き出した。


「山の神、大山祇神が命ずる!私の命に従ひて、場を明け渡せ!」


木や草がズルズルと動いてヤマツミさんを中心として、かなり開けた場所ができた。




「・・・どうですか。」


「結構いいな。よくやった。」


何が起こったの?ついていけん。


「ああ、修行するんだから場所が必要だろ?だから、ヤマツミに修行場を作ってもらったんだよ。」


そんなことできるんすか。


「ワタクシは山神ですからね。これぐらい朝飯前ですよ。あ、周りをモンスターが嫌う草で囲みましたから弱いモンスターは寄ってきませんよ。」


「へぇ・・・」




「剣は持ってきたか?」


「はい、これです。」


「ほう、いい剣だな。でもダメだ。俺の剣を貸してやるから、これでやれ。」


そういうと、武甕槌命、ミカヅチさんは腰から剣を出した。


「重っ!」


「まずはこれで素振りだ!俺がいいと言うまでやれよ!」


「あの、いま腰にこんな剣を持ってませんでしたよね。」


「ああ、俺は雷と剣の神だからな。ケイ。お前の修行は俺様が担当する。さあいくぞ!」


「ひいい!」




最近気づいたのだが、ケイと俺は感覚を分けることができる。だから今ケイが修行しているのを見えるが、俺には剣を持っている感覚がない。サボっているのと同じかな。




残りの三人はなんか石折神、イワサクさんを中心に校舎みたいなのを作っている。学校、かな?










「はぁ・・・はぁ・・・もう手が、手が・・・」


「よしもういいぞ。だいぶ姿勢が良くなってきた。今日はもういいぞ。」


「ありがとうございます。・・・はぁ」


倒れた。


「初日からハードすぎますよ。ミカヅチ。まだ相手は子供ですよ。」


「何言ってるんだ。初日からハードにしてしつけないとすぐサボるからな。」


「とはいえ、倒れるまでしなくても。」


「まあまあ、倒れてないで、ソウタくん!次は君の番だよ!起きて起きて!」


「・・・あの、意識はあるんですけど、体が動きません。力が入んないですけど。」


「ありゃあ。大変だね。ほら、ミカヅチ。運んできて。」


「何で俺様が・・・」




「ケイくんは大丈夫かい?」


「受け答えはしますけど、だいぶ疲れてますね。」


「大丈夫だね。次は体じゃなく、頭を使ってもらうよ!まずね・・・」


カグツチさんと闇御津羽神、ミツハさんが手のひらからドサドサっと大量の本を出した。


「パンドラボックス使えるんですか?」


「使えるよ、部下だもの。主に使ってるのは私とミツハだけどね。」


「他の三人は、イワサクとミカヅチは脳筋だし、ヤマツミは森の生き物と戯れてるか、寝てるからね。」


「「脳筋とは失礼な!」」


「事実でしょう?何がいけないのかしら?」


「「くっ」」


面白いな。




「まず、この本に書いてあること、全部覚えてもらうよ!」


「ええ?何が書いてあるんですか?」


「魔法論理や、魔法定理、魔法公式に魔法陣の描き方。魔法関係のことさ。」


「え、俺、魔法使えてましたけど」


「君が使っていたのは、初級魔法さ。魔力があるやつなら誰でも使える。今から教えるのは、中級、高等魔法と大魔法、究極魔法、禁術魔法、禁断魔法、神魔法、悪魔魔法、付与魔法、生活魔法、通常召喚、高等召喚、特殊召喚、強制召喚、強化召喚、まぁ、ありとあらゆる魔法と召喚さ。」


今、変なものが混じってた気がするんですが。


「この本達に大体は載ってる。今言った魔法や召喚は魔法論理や定理がわからないと使えないんだ。あと魔力も結構必要とするんだけど、君は大丈夫。」


「パンドラ様を超えているんですしね。」




「そう。だけど制御も覚えなければならない。大きい火の玉を出していたけど、あれじゃ魔力変換効率が悪い。必要な魔力だけを出せるように練習をしなくちゃね。あと、その本に載ってないことも私達が教えるよ。」




「そうですよねー。」


でもこの本の量・・・一冊を取ってみた。




ブ厚っ!  パラパラとめくってみた。  うわぁ。びっしり文字が書かれている。書いてあることはわかるけど、これをやるのか。うわぁぁ。




「君は話によると頭いいらしいし、わかるでしょ?わかんないとこがあったら聞いてね?」


その笑顔がいちばんわかんないです。何でこの人達こんなスパルタなの?


「その本はあげるから合間合間に読んでね。時々テストするからね。よろしく!」




・・・・・こっちの世界でもテストか。はぁ。勉強か。嫌じゃないからするけど。この量はキツイよ。




「次は魔力制御ね!手だけでいいからこっちに来て!」




椅子に座らされたまま、イワサクさんに運ばれて外に出た。




「じゃあ『ファイア』を思いっきりやってみて!」




「ファイア!」


手のひらから家より大きい火の玉が出た。


「うーん。フルでこれか。やっぱ初級魔法だとこの程度か。」


ムカッ


「ファイア!!」




手のひらから畑一面より大きい、ビル七階建てぐらいの大きさの火の玉が出た。




「うおっ!」


少しカグツチさんにあたった。ミツハさんが水で消火した。


「危ないねぇ。わかった。本気がどのくらいかわかったから。制御の練習をしよう。」




こうして、ケイと俺の神たちによる修行が始まった。




続く。

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