偏差値10 村にサーカスがやって来た!

  村長さんからの手紙が来てから約一週間が経ったある日ーーーーーー




「あ、あれはメンデルさんの竜車だ!おーい!村長とメンデルさんが帰ってきたぞー!」


(竜車って?)


(竜車は竜が引いている車ですよ。馬車より早いんですが、揺れがひどいんです。多分二人は早く帰りたがって馬車じゃなく竜車で帰って来たんでしょう。)




竜車が村について村長とメンデルさんが降りた。


「ただいま!みんな!」


「お帰りなさい!村長!メンデルさん!」


「無事戻ってきたよ!で、お土産なんだが・・・」


竜車から人が出てきた。


「ハーーーーーーーーーーーーイ!セルト村の子供達!ヨロシクゥ!ピエロのデラルテだよ!」


「・・・ワーーーーー!ピエロさんだぁ!」


「デラルテさんだ!手品してーー!」「何で来たのー?」「本物?」『手品手品!」


子供たちが大騒ぎだ。


(ピエロのデラルテ?知ってる?)


(知ってますよ!王都で人気のピエロです。手品が得意で、子供に大人気なんですよ。まさかお土産がデラルテさんなんて。呼ぶのにお父さんも苦労したのかな。)


「今日はワタシ、デラルテの友達とセルト村でサーカスをするよ!みんな見に来てね!」


「いくいくー!」


「楽しみー」


(ほんとに人気なんだな。)


(そうですよ!噂ですけど、王様もデラルテさんのサーカスを見て大絶賛だったらしいんですよ。最近は全国を回ってサーカスをしているらしいです。)


(詳しいな。)


(いやぁ。二年前にお父さんといっしょに王都に行って一回サーカスを見たんですよ。そのときにファンになっちゃって。)


(ケイがファンになったのか。すごい人なんだな。)


デラルテさんは子供たちと一緒に広場の方に行って手品をしに行った。


村長とメンデルさんとケイと何人かの大人たちと家の方に向かいながら話していた。


「ケイ、ただいま。なにか変わったことはあったかい?」


「えーっとですね・・・ありました。見ててください。ファイア!」


車サイズの炎が出た。練習して調節することができるようになったのだ。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


村長とメンデルさんが口を開けて呆然とした。


「・・・一体何が、あったんだ?」




家に帰り、村長とメンデルさんに今までの経緯を話した。マインやセリーネちゃんがいて、前より説明がしやすかった。




「・・・とりあえずわかった。ケイの体にソウタくんの魂が入ったんだな。」


「そうです。それで一緒に剣と魔法の練習をしているんです。」


「まぁ起こったことはしょうがない。ソウタくん。セルト村に喜んで歓迎するよ。」


「ありがとうございます。」


「じゃぁ今日はソウタくんの歓迎会と村長が帰ってきたことを祝って宴会でもしますか!」


「そうしたいがメンデル。きょうはデラルテのサーカスだ。歓迎会は明日にしよう。」


「そうでしたな。ははは、じゃあ明日にしましょう!」


メンデルさんはメガネを掛けた人で、研究者って感じだ。マインの話だと、この村のでっかい麦みたいなものはメンデルさんが作ったって言うし、いかにもって感じだ。


「ああ、ソウタくん。一つ聞きたいことがあるんです。」


「なんですか?」


「マヨネーズの製法を村の人達に教えたって言ってたけど、ほんとかい?」


「ホントですよ。卵黄に油をいれて、酢を入れるんですよね?」


「あー、っそこまで詳しく知ってるのか。まずいなぁ。」


「何がですか?」


「マヨネーズはパンゲア商会の主力商品の一つなんだ。その製法がいくら転生者といえど、知られていて、村人たちに広めたって知られるとめんどくさいんだよなぁ。おいコレンス。何で止めなかった?」


「いや、ソウタさんは転生者なので知ってるのはしょうがないですし、村の人達に認められるには必要かと思いまして。」


「しょうがないなぁ。まぁ考えとくよ。それより今日の夕方頃にサーカスが始まるんじゃないかな。見るために準備しないと。」


「ああそうですね。早めに仕事を終わらせてサーカスを見ないと。」


「そうと決まったら解散!さぁ仕事するよ!」






 夕方になった。


いつの間にか広場にサーカスのテントが建てられていた。この数時間でよく建てられたものだ。


テント内には座るところがあって、村人全員が入れるくらいだった。




「セルト村の皆さん!本日はお集まり頂きありがとうございます!今日はワタクシ赤色のデラルテと」


「黄色のパンタローネ」


「茶色のドットーレ」


「緑色のカピターノ」


「青色のコロンビーナ」


「この五人によるサーカスをお楽しみください!!」




続く。

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