偏差値6 ケイの告白

「痛ったー!なにをするんですか!」

「わざわざいつも殴ってくると言わなくてもいいでしょ!他に言うことあったでしょ!」

「思いついたのがこれだったんですー!事実だしいいでしょー!」

「事実でも言っていいことと悪いことがあるでしょ!」

痴話喧嘩しないでほしいな・・・

「まぁ許してあげて。 そんなことよりも大変なことが起きているんだから」

「そんなことって!急に入ってこないでよ!  ていうかややこしいわね。見た目は同じケイだからケイとソウタの区別がつかないわ。」

「確かにそうだな。いつか勘違いされそうだよなぁ。でもしょうがないとして家族にこのことを伝えたいんだ。」

「わかったよ。じゃあソウタとケイはここにいて。私がお母さんたちを呼んでくるよ!たぶん作業も終わってるだろうし。」

「ありがとう。そうしてくれ。」


 マインは呼びに行った。

(なぁ、ケイ)

(何?)

(突然だが、聞きたいことがあるんだ。なんでお前は嵐のとき外に出て剣を振っていたんだ?あれがきっかけで俺はお前の中に転生したが危険だろう。なぜなんだ?)

(そ、それは・・・)

(いや、言いたくなかったらいいだが、疑問に思ったんでな。)

(・・・まぁ隠すほどのことじゃないから言いますけど、三年前、村が盗賊団に襲われたんです。そのとき村の大人たちも戦ったんだけど負けちゃって食料とお金が取られたんですけど、マイン、ほかにも10人ぐらいの女の子と女性たちが攫われたんです。)

(そんな事があったのか。)

(うん。その時ぼくは家に隠れていて怖くて震えてたんです。村の人も何人か殺されて、大騒ぎになったんだけど、マインたちを取り戻そうということになったんです。でも村の人達では歯が立たない。どうしようか悩んでいると、その時たまたま旅の冒険者さんが村に訪れたんです。ダンジョン巡りをしている人だそうで、怪我をしていた父さんが盗賊団からマイン達を助けてくれるよう頼んだんです。そしたら引き受けてくれて、一人で盗賊団のところに行ったんです。)

(すごいな。一人でか。それで?)

(マイン達全員無傷で助けてくれて、食料とか奪われたもの全部取り返してくれたんです。)

(かっこいいじゃないか。村のヒーローじゃん。)

(うん。その時僕は怖くて何もできなかったけど、その人に憧れてまた盗賊やモンスターが来てもマイン達や村を守れるように剣を修行してるんです。)

まあ子供だし何もできないのはしょうがないが、えらいな。

(そうだったのか。でもなんで剣なんだ?)

(え?だって剣ならどこにでもあるし、かっこいいじゃん。それにちょっと試したけど、剣がしっくり来る感じがするんです。)

(ふーん。ひとりでやってんの?)

(そうですよ?たまにお父さんに見てもらうけど、お父さんは自衛のために剣を習ったことがあるんだって。)

(へー。でも嵐のときに練習するのはさすがに危ないぞ。怪我をしても誰も助けに来てくれないし、今回みたいに大怪我するかもしれないからな。)

(はい。それは反省しています・・・今度から気をつけます。ちゃんと安全な日にしか練習しません。)

(そうしてくれ。次あったら俺もダメージを受けるからな。)

(そうします。)


 ん?誰か走ってくるな。マインか?


「ケイ!大変!お母さんとセリーネちゃんがモンスターに襲われてる!」

「なんだって!すぐ行くよ!」

置いてあった剣を取り、マインと一緒に家を出た。



続く。

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