第2話オーグター

誰かが、俺の名前を呼んでいる。叫んでいる。なかなか、ひどいことまで言われているような感じだ。

感じたことのない浮遊感だ。

もしくは、来ている服が風に煽られて俺の体を激しく叩いく。

「な!?」

白い光に僅かに目を開く。

短く声が振り絞れたは、いいが息苦しい。

目も痛い。寒い。ここは、空。

遥か、下には地面が見えて、遥か彼方には、蛇のように動くものが見えている。

「気がついた!...あんた体を広げなさい!死ぬわよ!」

言われたことがどういうことか少しの間考えるが、理解するとすぐに体を広げて空気の抵抗を受けるようにする。

僅かでも落下速度を落とすように試みる。

なかなか、速度が落ちたようには思えない。

遙か地面をみつめる私の視界からわずかに光量が奪われる。

ともすれば、落下速度を奪うようにした浮遊間を味わうことになる。ついさっき味わった浮遊間より何というか内臓ごと揺さぶられるような感覚である

「ック。あんた重い!半霊状態じゃ力も出ない!かといってこのままじゃ地面にキス!見捨ててもいいけど、それじゃぁ寝覚めも悪い!」

体は、両脇にかけられた細い腕に持ち上げられている。

だが、カッターシャツ一枚向こうの細い腕からは、細かな震えが伝わる。このままでは、再び自由落下を体験する事になる。

「はっはっ……あ、ありがとう。でも、もういいよ大丈夫。リサエルにいわれたけどここで終わるなら仕方がないと思うんだ。だから、空を飛べる君も僕を庇うこともないよ。」

見上げる。見たことないほどの蒼天に大きな太陽、感じたことのない驚愕は連続しているが故に感じないがそれでも逆行を浴びる彼女に驚愕を禁じ得ない。

何故なら、その長い黒髪少女の顔は、ついさっき助けたあの少女に瓜二つだったのだからだ。一瞬とはいえ覚えていたのは、当然フラッシュバックになるほどの精神的要因の一つに少女の存在があるからで、とはいえ、翼が生えていて空が飛べて服装は白がベースの赤の装飾が目立つ珍しいものである。

「はぁ!?何で天使協会の一柱がでてくんのよ!意味わかんない!それより、契約して!そうすれば、助かるから!」

「契約って?」

「私のマナを呼んで!あとは、やるから!」

もうだいぶ地面が近づいてきた。

覚悟は、あるがあきらめがいい性格でもないのであがくことに決める。

「赤銅の鎖を溶かす程の白き花の蜜!ローズマロー!!」

「輪廻から外す我が魂をマナを通し、この者に繋げる!」

落ちるが早いか、二人をつつむ閃光が煌めくか、落下に伴う衝撃で周りの木々をなぎ倒し、深い森の中に爆音を響かせた。

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