秒針
お惣菜
第1話 朝4時
カチカチカチカチ…
僕はこの時計の音でいつも目が覚める。
時刻はいつも午前4時を少し過ぎたあたりだ。
でもどうしたことかその後は眠れず起きてしまう。
「はぁ…またこの時間」
朝早く起きるようになったのは前々からではなく、ここ1週間あたりの事だ。
だからといって生活には何の支障もない。
それは僕が無職、世間一般的に言う"ニート"だからだ。
僕は自分の部屋からテレビがある居間に向かう。
朝が早いためニュースかテレフォンショッピングしか放送してなかった。
「続いては連続殺人事件のニュースです…」
画面の中のキャスターは机の上に置いた原稿をスラスラと読む。
「連続殺人事件かぁ…しかも隣町かよ」
僕は冷蔵庫の中にあったヨーグルトを口に運びながらニュースを見ていた。
「CMのあとはスポーツとお天気!!…」
「今日もバイトの面接にでも行くかな…
僕は準備をして8時に家を出た。
近くの駅を利用し、3駅隣にあるお店に向かうのだ。
そして1駅過ぎたあたりだった。
「あ、履歴書…」
僕は鞄の中を見て履歴書を家に忘れたのに気づいたら。
「まだ時間あるし、次の駅で降りて取りに帰るか…」
カチカチ…
まだ1駅を過ぎたあたりで次の駅までは5分ほどかかる。
僕は少しの焦りを落ち着かせるため外を眺めていた。外では、パトカーが走っており朝のニュースを思い出した。
「まだ捕まってなのか。」
僕はそう呟くと、近くにいた女子高生達が
「ここらへんで連続殺人事件だって〜」
「知ってる!朝のニュースで見た。」
「しかも顔とかまだ分からないらしいし…」
そうだ、ネットのニュースなどでも"顔、未だ分からず"など身元がはっきりと分かってない。
そうこうしてるうちに次の駅に着こうとしていた
「次は〜駅、〜駅。お出口は右側です、お忘れ物の無いようにご注意ください。」
僕は近くの右側の扉に移動した。
前にはあの女子高生の2人がいた。
電車が駅に着き扉が開こうとした時、駅のホームに男が割り込んで来るのが見えた。
「迷惑な人だな…」
僕も、また先頭にいたおじさんも不機嫌な顔をした。
プシュー
電車の扉が開くと、その男は我先にと車内に乗り込んできた。
すると男は女子高生の肩にぶつかった。
「痛っ…ちょっと、そこの男の人!!」
女子高生は男の腕を掴み車内から出そうとした。
その時だった、
「…」
僕は言葉を失った。
その男は彼女を刺した。
キャーッ!!
車内は悲鳴に包まれた。
僕は危機を感じ、男に背を向けて走り出そうとした。
すると…
背中には冷たい銀と温かい赤が服を別の色に染め、目の前は真っ暗になった。
カチカチ…カチカチ…
その場には腕時計の秒針が蚊のような微細な音を出しながら動いていた。
そして僕は朝の4時過ぎ、目が覚めるのであった。
秒針 お惣菜 @osouzaisan
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