異常図書1411-7-11[黄金柿]
分類:異常知識
人気推定値:測定不能
状況:来歴調査中
発見時の脅威:呪文/黄 人体の不可逆的変形
現在の脅威:呪文/赤 水面下での再拡散の恐れ
作品の概要
触れた物を黄金に変える力を授かったミダス王の物語を、日本人向けにアレンジしたものだと思われる。
幕末期に制作された絵草紙のようだが、全ページにラミネート加工が施されており、明らかにごく最近、何者かが手を加えている。
内容に手を加えた痕跡は見られないが、加工の際に何らかの方法で異常性を付与した疑いがあり、異常図書1411-7-11が異常性を獲得した時期は不明。
異常の発現
████ページを朗読すると異常を発現する。
朗読者の右手首から先が接触したヒトの体組織、体液を、同体積の純金(純度100%と思われる)に変質させる。
この能力は右手を肘まで川に浸すことで消失する。川は人工的に生成したものでも良いようだが、蛇口からの流水では効果が無かった。
発見と対応
2017年█月██日から始まった連続失踪事件の捜査中に発見。
失踪者の足跡が不自然に途切れることから、3件目の時点で異常図書事件の可能性が疑われていた。
最初の3件は███県、その後██、██、██と移動し、██県で2件。
失踪者はいずれも孤立気味で、SNSへの依存傾向があり、5000円程度で売買されたアカウントとメッセージのやり取りをしていた。
失踪者を呼び出した人物は、通信の際に███████や████████を利用しており、不規則に県をまたいでの移動を繰り返していて、捕捉が非常に困難だったが、2017年█月█日、網を張っていたアカウントに接触。やり取りの内容から拠点を特定して踏み込み、████と█████を逮捕し、約30キロの金塊と、異常図書1411-7-11を押収した。
この際、████が異常図書1411-7-11を利用して抵抗したため、████巡査部長が首に軽傷を負っている。
来歴調査の必要があると思われたため、即時の焼却は行わず解析作業を開始。
追記1
████と█████はSNSで呼び出した被害者を、首を絞める、毒物を飲ませるなどして殺害した後、異常図書1411-7-11を利用して金に変え、これを鋳溶かして売却していたと見られる。
2人は異常図書1411-7-11を「最初の犯行の1か月ほど前、飲み屋で知り合った男に金の相談をした際、使用法と共に渡された」と話しているが、名前は偽名であり、住所は既に引き払われていたため、身元が不明である。
しかし、何者かが異常図書1411-7-11に加工を施して2人に渡したということまでは間違いないと思われる。
追記2
本課職員の███により不正利用されたため、ページ数を桁数含め隠蔽処理。███は懲戒免職とした。
追記3
████と█████が寝ている間に呪文を唱えて顔に触れたため、鼻や目を負傷する事故が発生。尋問を継続する必要があったため、記憶消去ではなく拘束で対応。
同時に発生したことから、異常図書1411-7-11に人格版画の性質があるか、2人に異常図書1411-7-11を渡した人物が何か仕込んでいた可能性がある。
異常発現の原因
████ページが呪文書になっており、これを朗読することで異常を発現する。
暗記してしまえば異常図書1411-7-11は必要無いため、使用者の記憶を消去する必要がある。
[削除]
追記1
不正利用されたため、呪文に関する情報は特別秘匿指定とする。
現状
████と█████に異常図書1411-7-11を渡した人物の身元と足取りを調査している。
この人物が異常図書1411-7-11に加工を施したか、なんらかの情報を握っているものと思われるが、まったく無関係である可能性もある。
同時に、異常図書1411-7-11を加工した施設、異常図書1411-7-11の来歴についても調査を行っているが、来歴については資料が乏しく、既に手詰まりになりつつある。
また、加工の際に複製された疑いがあり、性質上、悪用された場合の発見が困難であるため、背後関係の捜査を急ぐ必要がある。
実験仮説
異常図書1411-7-11は、爪や髪の毛など再生の早い部位に使えば、自分1人でほぼ無限に金が得られる。また、フケや垢も金に変えることができる。
他人に渡さず、こっそり自分で使う方が得になる異常図書である。それを知り合って1か月の(しかも████と█████は、良心に欠け、罪悪感が薄く、そのうち逮捕されそうな人物である)相手に渡すのは不自然であり、なんらかの目的があったことが疑われる。
異常図書1411-7-11は、2人が逮捕され、事件が明るみに出て、異常図書1411-7-11が我々の手に渡ることまで織り込み済みだったのではないか。
例えば、本事件は異常図書の性能実験で、事件の報道が実験報告書であり、我々は用済みの試供品を処分するために使われたのではないか。
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