異常図書1412-4-16[顔を上げて生きよう]

分類:人格版画

人気推定値:43vol

状況:回収作業中

発見時の脅威:洗脳/赤 悪性人格の形成

現在の脅威:洗脳/赤 悪性人格の形成


作品の概要

 2018年4月、███████社から出版された、後悔を捨てて、前向きに明るく生きていこうと説く自己啓発本。


異常の発現

 本を開いた後、本を持ったまま顔を上げると異常を発現し、被害者が後悔している記憶全てを改変する。

 特に問題を起こさない場合も多いようだが、病死した家族に何もしてやれなかったという記憶や、交通事故の加害者になった記憶が改変された結果、「あいつは死んで当然だった」などと発言して喧嘩に発展するなど、重大なトラブルを引き起こす場合がある。


発見と対応

 「前向きになれる」という感想はありふれたものだったが、反省や後悔の言葉を述べていた加害者が突然開き直る、治療中のうつ病患者が読後に躁転するなどの不自然な行動が確認されたため、松可奈式判定法でテストしたところ人格版画で8点を記録したため異常図書と断定。

 ただちに掲載物・原稿の回収、焼却を行ったが、異常性が当人にとっては有用であるため、十分な協力が得られておらず、回収作業がかなり難航している。

 この時点で確認できているだけでも██件のトラブルの原因になっており、人気推定値からの推定では、████件がその場で許されるなどして未確認のままになっていると思われる。

 いずれも遺恨を残している疑いがあり、今後さらなるトラブルに繋がる恐れがある。

 これを早期発見できなかったことは痛恨の極みであるが、一時的に感化されたものと判別が困難だったため、初動が遅れてしまった。

 松可奈式判定法の自動化、魔術の早期検知法など、効果的な検知法の開発を続け、これらの異常図書に素早く対応できる仕組み作りをしていきたい。


異常発現の原因

 表紙のデザイン、素材などにより、本自体が魔術を形成している。

 書かれている内容は、記憶の改変を微調整している程度で、異常性とはあまり関係が無いものと思われる。


現状

 印刷部数の29%しか回収、焼却できていない。

 所有者全員が今後一切後悔の無い人生を歩めるとは考えられず、いずれ再使用して問題を起こすことは、ほぼ確実と見られる。

 所有者の割り出しが完了次第、強制執行により回収する予定であるが、被害者は依存に近い状態にあり、何をしてもおかしくない。

 SEATとの協力が必要になるかもしれない。


 筆者の████は異常図書1412-4-16について「こんなものを作ったつもりではなかった」と話しており、解析作業にも協力的である。

 作業が終了次第、記憶処理を行い、釈放する予定。

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