異常図書1409-A-10[新世代紙ヒコーキSPECIAL]

分類:図書凶器

人気推定値:12vol

状況:掲載物・原稿の焼却

発見時の脅威:傷害/赤 致死傷性事象、封じ込めの必要

現在の脅威:傷害/赤 致死傷性事象、封じ込めの必要


作品の概要

 2009年10月、████出版から出版された、紙飛行機の作り方を集めた教本。

 折り紙飛行機から、貼り合わせて作るタイプまで、幅広く紹介されている。


異常の発現

 95ページ以降に掲載されている[独占公開! 究極の紙飛行機]の章に従って紙飛行機を作ると異常を発現し、紙飛行機が自律飛行を開始する。

 比較的安全なものもあるが、超音速で飛行するものや、攻撃能力を持つものがあり、非常に危険である。

 異常を発現した飛行機は使用した紙の材質とは無関係に、超々ジュラルミンと同等の強度を持つ。

 飛行機の性能は紙の材質ではなく、出来栄えに左右されるようである。


発見と対応

 20██年██月██日、██県██市で、30代男性3人のうち、1人が死亡、2人が重傷を負う事件が発生した。

 救急搬送された2人が「本の通りに紙飛行機を作っていたら爆発した」と話したことから、救急隊員が異常図書事件の可能性を考え、我々に調査を要請。

 死亡した男性は高速で飛来した薄板のようなものが頭を貫通しており、重傷を負った2人はその際に生じた衝撃波で負傷したものと見られる。

 現場からは衝撃波による破壊の痕跡と、血の付いた紙片が複数回収された。

 紙片は血でふやけていたが、硬質素材のように砕け散っており、破断面を調査すると、超々ジュラルミンの破断面に類似していた。

 証言と現場の状況から、同じく現場にあった[新世代紙ヒコーキSPECIAL]を異常図書と断定。ただちに掲載物・原稿の回収、焼却を行ったが、回収作業中に8件の事故が発生し、██人が死傷した。


 また異常図書1409-A-10の奥付に、矢貨元印刷の名前を発見。「やかもと」と読めることから、異常図書1406-12-1Bに関与した八可本印刷との関連が疑われる。


異常発現の原因

 設計図と残骸から特異記号を確認している。設計図に従って完成させた紙飛行機に[テツノイワフネソラカケロ]と呪文を唱えることで、異常を発現するようである。

 機体が30%以上損傷すると、全ての異常性を喪失し、ただの紙に戻る。


特異記号1409-A-10

・1409-A-10-1

 ターボファンエンジンの断面図を略記したような記号。空、速、回に近い形の模様が1つずつ組み込まれている。

 [超音速]の表記がある設計図で使用を確認。


・1409-A-10-2

 ジェット戦闘機の俯瞰図を略記したような記号。空、槍、回に近い形の模様が1つずつ組み込まれている。

 [戦争ごっこ]の表記がある設計図で使用を確認。


・1409-A-10-3

 乗客を満載した旅客機の断面図を略記したような記号。ピクトグラム風になっている乗客11人のうち、先頭の1人だけ大きく描かれている。空、賑、回に近い形の模様が1つずつ組み込まれている。

 [遊覧飛行]の表記がある設計図で使用を確認。


・1409-A-10-4

 レシプロエンジンの極めて詳細な断面図。空、飛、回に近い形の模様が組み込まれており、このうち飛だけが100箇所に組み込まれている。

 [レトロ]の表記がある設計図で使用を確認。


現状

 印刷部数の82%しか回収、焼却できていない。また、購入履歴があるのに手元に無いと主張するなど、隠匿していると思われる者がおり、引き続き警戒が必要である。

 隠し場所の割り出しが完了次第、強制執行により回収する予定。


 ████出版は矢貨元印刷について、「廃業した印刷所の代わりを探している時に見つけた。サンプルの仕上がりが非常に良く、営業の女の印象も良かったため、[新世代紙ヒコーキSPECIAL]を任せることにした」と話している。

 設計図は複数の紙飛行機研究者から協力を得て集められているが、[独占公開! 究極の紙飛行機]の章のみ、製作者が不明である。矢貨元印刷内部にいる技術者の手によるものと思われる。

 八可本印刷はダミー会社だったが、矢貨元印刷には事業所が存在したため、ただちに踏み込み調査を行ったが、既に無人であった。

 設備に使用していた形跡があるため、異常図書1406-12-1Bもここで制作された疑いがある。

 重要なものは既に持ち去られている可能性が高いが、異常図書制作技術解明のため、詳細な調査を行うことは有益と思われる。


追記

 20██年█月██日、██県██市で、男性5人が墜死し、民家2軒の屋根を突き破る事故が発生。

 5人は異常図書1409-A-10に従って実寸大の軽飛行機を制作し、遊覧飛行を試みたが、高度1200メートル前後で機体が空中分解し、残骸と共に落下したと見られる。

 異常図書1409-A-10に従っていても、異常を発現するまではただの紙なので、自重によって機体が変形し、これが出来栄えと物理的な強度の低下を招き、空中分解に至ったものと思われる。

 このことは実寸大の大型爆撃機によるテロ攻撃が発生する可能性をいくらか弱めてくれたが、1000メートルの高さから人間が降ってくるだけでも大きな問題であることには変わりない。

 回収作業を急ぐ必要がある。

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