異常図書焼却課アーカイブ

異常図書1413-1-13［いつでも作れるイージークッキング］

分類：人格版画

人気推定値：522vol

状況：掲載物・原稿の焼却

発見時の脅威：洗脳／黄　中度の行動強制　

現在の脅威：洗脳／黄　中度の再拡散の危険

作品の概要

　2019年1月、██社から出版された料理本。

　とにかく簡単に作れる事を前面に押し出しており「片腕をケガした時のレシピ」や「洗い物をしたくない時のレシピ」などが掲載されているのが特徴。

異常の発現

　37ページ「成功率82％簡単プリン」のレシピを5秒以上目視すると異常を発現する。

　被害者はプリンのレシピを口に出しながら、鶏もも肉、塩、こしょう、パン粉を準備し、それらをやや多めの油で炒め焼きする。

　完成品はカツレツに似るが、被害者は食べ終わるまで、それをプリンとして扱う。

　ただし、材料が間違っていることや、作っているものがプリンではないことを指摘されると、その段階で異常図書の影響は消失するようである。

　材料が準備できない場合、どのように振る舞うかは不明。不測の事態を引き起こす恐れがあるので実験は行わない。

発見と対応

　本課職員が購入し、休憩時間にプリンを振る舞おうとした際、異常の発現を確認。ただちに各種検査を行ったが、本書には魔術的構造が見られず、材質も至って普通の紙とインクであり、松可奈式判定法によるテストでも0点しか示さなかった。

　しかし、WEB上にも我々が確認したのと同様の現象が報告されはじめたため、異常図書の特徴は確認できないが、明らかに異常を発現しているので、異常図書と断定。回収、焼却を行った（1冊を解析用サンプルとして保管中）。

異常発現の原因

　37ページ「成功率82％簡単プリン」を削除したバージョンでは異常を発現しない。また、切り取った37ページだけでも異常を発現しないことから、「成功率82％簡単プリン」が、いつでも作れるイージークッキングの37ページとして存在することが異常発現の条件であるのは明らかだが、先述の通り、異常を発現するはずのないものが異常を発現しており、メカニズムの検証は極めて困難である。

　しかし、同様の特性を持つ、より危険な異常図書が出現する可能性を考えると、異常図書1413-1-13の解析は急務である。

複製実験

　未知の因子が含まれている可能性を考慮し、メカニズム検証のため複製実験を行った。

実験1

　再現性があるかどうかを確認するため、紙、インク、印刷機、印刷された時間帯を合わせて印刷した。

　同様の異常を発現。再現性を確認。

実験2

　どの程度の差異まで許容されるか確認するため、実験1から条件を少しずつ変更して印刷した。

　時間帯は無関係と思われるが、紙とインクは成分が9.8％以上変化すると異常性を喪失する。

　印刷機も██████社以外のものを使用すると異常性を喪失するものと思われたが、印刷機を███社の物に変えた時、52ページ「片腕豆腐スープ」で異常を発現。被害者はスープのレシピを口に出しながら、卵、はんぺん、おろしショウガを準備し、厚焼き卵を作った。

　発現する異常が変化した唯一の例。これ以外の条件では異常を発現しなかった。

中継局仮説

　異常図書1413-1-13は他の異常図書から異常性を付与されている疑いがある。

　類感呪術の類によって、異常図書1413-1-13を通して、別の異常図書に接触する構造になっているとすれば、異常図書1413-1-13に、異常図書の特徴が確認できないことも説明できる。

　被害者が実際に作る料理を手がかりとして、原因となっている異常図書を発見できるものと期待されたが、それらしいものは発見できなかった。

現状

　封じ込めは成功し、メカニズムもある程度目星が付いたが、肝心の原因が特定できていない。

　異常図書1413-1-13が再拡散する可能性は十分に低いが、今後、同様の異常図書が出現する可能性が十分にあることを警告するため、現在の脅威は黄に設定しておく。

備考

　異常図書140F-7-7追跡調査班の██です。要注意人物140F-7-7のSNSアカウントに「カツレツを作るはずが、プリンを作ってしまった」という主旨の内容が投稿されています。何か関連があるのではないでしょうか。

　↑すぐ行きます。