異常図書1323-C-8[藤堂帳]

分類:異常知識

人気推定値:測定不能

状況:焼却

発見時の脅威:暴露/黒 脳内検閲、制止の必要

現在の脅威:暴露/緑 低度の再制作の危険


作品の概要

 1935年12月に█████警部が警視庁特別高等部に入る際に父親から贈与されたという黒革の手帳。

 表紙に型押し加工で「藤堂帳」の文字が入れてある以外は、罫線付きの紙を綴じただけの簡素な構造である。


異常の発現

 全頁が異常性を保持しており、1日に1回、共産主義者とされる人物の名前、住所、1週間以内に引き起こす犯罪のあらましを表示する。

 これが正確かどうかは不明である。逮捕された███人のうち、███人が自白し、███件で準備の証拠が発見されているが、███人が発狂、██人が拷問死しており、証拠とされている物品は、いずれもありふれた道具であることに留意せよ。


発見と対応

 警視庁特別高等部内で「どんなスパイも見つけ出す魔法の手帳」として噂になっていたことから、異常図書である可能性を考えて調査を開始し、異常発現の瞬間を確認したことから異常図書と断定。

 再三再四引き渡しを要請したが拒否されたため、強制執行により焼却。


付記

 調査に当たった████が個人的な理由によって虚偽の調査報告を行ったため、異常図書と断定するまでに6か月余計にかかり、███人の余計な被害者を出した。

 ████には酌むべき事情があり、それを見落とした我々の責任も軽くはないが、どのような目的であれ異常図書を利用しようとしたことは本課の職員として極めて不適切である。

 ████は懲戒免職とし、████が受け取るはずであった手当は被害者遺族への賠償に充当される。


異常発現の原因

 解析する時間が無かったため詳細は不明だが、調査に当たった職員が異常発現の瞬間を確認した際に「やっべバレた」と数秒間表示されたらしい。

 このことは、「藤堂帳」が[霊界接触]の窓口であった可能性と、虚偽を表示していた疑いを同時に示すものである。

 来歴調査は、強制執行によって█████警部との関係が悪化したため、█████警部の父親とも接触できておらず、行動追跡も警視庁に妨害されており、成果は上がっていない。


現状

 共産主義者とされる人物の検挙数は大分落ち着いた。「藤堂帳」の複製、または新品が使用されている様子も無い。

 隠れて使用している疑いは残っているが、警視庁からスパイ嫌疑で攻撃を受けているため、これ以上の調査は断念するほかない。我々は他の異常図書にも対処しなければならないのだ。


備考

 暇つぶしに古い報告書を読んでいて思ったのだが、もしやこれが[神州文化保存学会]と我々の最初の戦いで、あのカルト教団と警視庁の繋がりを示す事件だったのではないだろうか?

 ↑古文書にぶら下げられると、そもそも議論が始まらないので、そういう話は、もうちょっと人のいるところでお願いします。

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