異常図書1406-7-11[好かれる人になるための7つの階段]

分類:人格版画

人気推定値:156vol

状況:掲載物・原稿の焼却

発見時の脅威:洗脳/赤 強度の行動強制

現在の脅威:洗脳/赤 高度の亜種拡散の危険


作品の概要

 2006年7月、██書房から出版された自己啓発本。7章からなる。

 全章が対人恐怖を煽る脅迫文で始まり、対策グッズの宣伝で終わる。


異常の発現

 各章が異常性を保持しており、7冊の似たような異常図書が1つにまとまっていると言っても良い。

 1章が顔、2章が体の醜形恐怖症。3章が言葉遣い、4章が身振りの恐怖症。5章が体臭恐怖症。6章が食事マナーから会食恐怖症。7章が異性は自分のことを嘲笑っているという妄想を引き起こす。

 これらの神経症の結果か、異常図書によって強制されたものか判然としないが、被害者は対策グッズを購入し、乱用する。


発見と対応

 2006年9月██日、職員が電話で友人を食事に誘った際、ただならぬ様子で拒否され、さらに後方から、友人の家族が職員に対して助けを求める声が聞こえたため、家に様子を見に行ったところ、全身に体型の矯正器具を身につけ、音声教材を大音量で流しながら、サプリメントを大量摂取している友人を発見。

 矯正器具の締め付けと、サプリメントによるものと思われる中毒症状によって極めて危険な状態だったため、救急車を呼び、一命を取り留めた。

 その後、家族への聞き取り等から異常図書の存在が浮上し、松可奈式判定法によりテストしたところ、人格版画で12点を記録したことから、異常図書と断定。

 ただちに回収を行い、掲載物、原稿を焼却。

 この時点で██人が死亡。████人が入院治療を必要とする状態に陥っており、███世帯の家庭が破綻していた。


付記

 焼却の際、異常図書1406-7-11を集積した倉庫に入った職員2人が錯乱する事故が発生。倉庫内の換気扇が故障で停止していたために、揮発性の毒素が高濃度で滞留していたものと思われる。

 倉庫外から換気扇の状態を確認できるシステムの導入を申請中。


異常発現の原因

 前項でも少し触れたが、インクから揮発性の神経毒に加えて、未知のアルカロイド成分が検出されている。これらは容易に皮膚から浸透し、脅迫文と組み合わせることで恐怖症や不安神経症を引き起こす。


現状

 制作者を捜索中。

 使用されている技術が異常図書138F-5-4[地球の死期]と酷似しており、未知のアルカロイド成分は、異常図書138F-5-4で見られたアルカロイドと共通の分子構造を持つ部分が多く、改良型、もしくは異なる目的のために作られた調整型である疑いが強い。

 これらのことから、同一人物か、異常図書138F-5-4の制作者と技術的な繋がりを持っている人物の関与が疑われる。

 筆者とされている心理学者の████氏に問い合わせたところ「勝手に名前を使われ、自分のSNSアカウントが炎上しているのを見て初めて事態に気付いた」と話しており、行動記録にも矛盾が無いことから、████氏は被害者であると思われる。

 ██書房は我々が調査を開始した2006年9月██日の1週間ほど前から営業を停止しており、本事件の関係者とは連絡が取れなくなっていた。ただし、これは我々から逃亡したわけではなく、心理学者の████氏同様、被害者家族の攻撃を受けたためと見られる。


追記1

 ██県のネットカフェで異常図書1406-7-11の担当者だった███氏を発見。

 当時の資料が企画関係者の打ち合わせに使っていた1DKアパートにあるというので、職員2名が同行した。

 しかし、資料を取ってくると言って███氏が4畳ほどの洋間に入った10秒ほど後、ガラスが割れる音に続いて勢い良く炎が噴き出し、火だるまの███氏が飛び出してきた。

 ███氏は一命を取り留めたが未だ意識が戻らず、洋間は全焼。焼け跡からは火炎瓶と見られる残骸が4本見つかった。

 火災の原因は███氏が火炎瓶を使用したことによるものと思われるが、███氏が証拠隠滅を図ったのだとすれば矛盾が多い。

 仮に███氏が制作者の仲間であったなら、見られて都合の悪いものを処分する機会はいくらでもあった。急に思いついたのだとしても、自分を巻き込むような使い方をする必要は無い。加えて、急に思いついたのなら火炎瓶が4本も用意されているのはおかしい。

 できれば残しておきたい資料だったが、不都合な相手に見つかった場合には、███氏、あるいは発見者もろともに焼き消してしまえるようにと、異常図書1406-7-11の制作者によって準備されていたものと思われる。

 ███氏の回復を待つ間、燃えかすを分析に回し、他の関係者の捜索を進める。


追記2

 資料は大半が焼損したが、燃えかすの一部に「薬」「粧品」「ビューテ」の文字を発見。異常図書1406-7-11の制作には、対策グッズの製造、販売元も関与している疑いがより強まった。

 現在、被害者が購入した商品と、異常図書1406-7-11の発売後に開催されたセミナー(特に健康、自己啓発、美容)のリスト化作業を進めている。

 営利目的で制作しているとなると、制作者は次回作を企画している可能性が高い。早急に対処しなければ、また亜種が拡散する恐れがある。

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