異常図書1351-9-13[100人の小さなエイリアン919-01B]

分類:召喚媒体

人気推定値:計測不能

状況:鎮圧、無力化

発見時の脅威:侵略/赤 脅威度の高い武装集団の出現

現在の脅威:召喚/黄 中度の再制作の危険


作品の概要

 1981年9月、ロズウェル事件がもたらした宇宙人ブームに便乗して発表された[10人の小さなインディアン]のパロディ絵本。

 異常図書1351-9-13は、それを1冊、何者かが異常図書に作り変えたものである。


異常の発現

 召喚後に異常性を喪失する構造になっていたようで、脅威度の高い武装集団を召喚するということ以外わかっていない。

 武装集団はグレイ型宇宙人約60体、タコ型宇宙人約30体、釣鐘型の装甲になんらかの臓器が保存されているものが約10体の約100体(どれも戦闘で遺体が激しく損傷しており、正確な数は不明)で構成されており、レーザー銃等の危険な物品を所持していた。

 武装集団の分析、所持品の詳細なリストは後述。


発見と対応

 1982年7月█日の16時頃、地元警察に公衆電話から武装集団が█████学校を襲撃しているという通報が入り、地元警察が通報の内容から異常図書事件の可能性を考え、SEATに出動を要請。

 同日19時頃に制圧、駆除に成功したが、作戦中にSEAT隊員█人が死傷。█████学校の生徒██人が武装集団によって射殺、標本化される等して死亡し、█人が不可逆的な身体改造を受けた状態になっていた。

 異常図書1351-9-13は、死亡した生徒の1人が握り締めた状態で発見され、表紙以外が白紙化していた。

 ただちに書店分の100人の小さなエイリアンを回収して調査したが、これらには異常が見られなかったことから、異常図書1351-9-13は何者かが100人の小さなエイリアンを入手した後に改造したか、似せて制作した可能性が高い。

 異常図書1351-9-13を握り締めていた生徒█████の周辺も調査したが、不審物、不審人物の接触、[霊界接触]を疑わせる異常行動等、不審な点は見当たらなかった。


異常発現の原因

 異常性を喪失しているため、詳細な分析は絶望的である。何者かが改造したために異常性を持った可能性が高いとしか、現状では言えない。


100人の小さなエイリアンの完全抹消提案について

 同じ本を元に再制作されて、同様以上の被害が発生する可能性を考え、100人の小さなエイリアンの完全抹消が提案された。

 しかし、100人の小さなエイリアン自体は異常性を持たないこと、破滅的事象を引き起こしたいだけなら、終末ものや神話等、直接的に世界を破壊できる本はいくらでもあり、それに比べれば100人の小さなエイリアンによる被害はまだマシと言えること、また、異常図書に改造した何者かが既に複数冊隠し持っている可能性があることから、提案は却下された。

 なにより、そのようなことを続けていけば、有害図書追放運動と同じ失敗を繰り返すことになりかねない。


現状

 制作者を捜索中。

 表紙やページの分析によって、学校関係者ではない何者かのDNAが得られたため、医療機関監視網にデータを入力した。

 制作者のものかどうか不明なうえ、医療機関を利用するかどうかもわからないが、これが唯一の手がかりである。

 異常図書1351-9-13は白紙化した状態から復活する可能性があるが、手がかりであるので、内容を監視しつつ保存している。


武装集団の分析

グレイ型宇宙人

 身長約110センチ、体重約24キロ。

 解剖の結果、消化器、生殖器が見られなかった。腕に注射痕らしきものが見られることから、栄養分は注射で摂取していた可能性が高い。

 また、死骸は全て同一のDNAを保持しており、例外なく脳が溶解していた。

 モデルとして、アバター説を採用したデザインと思われる。


タコ型宇宙人

 死骸が破裂、溶解したため分析不能。SEATの機転で組織サンプルを得たが、容器内で急速に分解し、水、アンモニア、二酸化炭素になってしまった。


釣鐘型の装甲になんらかの臓器が保存されているもの[注意1]

 自爆したため、大きさ、重量の正確なデータは不明。

 目撃者の証言から、釣鐘型の装甲の全高はグレイ型宇宙人とほぼ同じ約110センチ。

 組み立てた破片から推測される重量は約250キロ。鋼鉄、セラミック、チタン、カーボンファイバーの複合装甲になっていたようである。

 臓器は自爆前に強力な酸化剤にさらしたらしく、分析不能になっていた。形状から、恐らくは脳であろうと思われる。

 臓器は冷蔵装置らしいものを備え付けたガラスケースに入っていたようだが、自爆で激しく損傷しているため、断定はできない。


注意1

 100人の小さなエイリアンに登場しないデザイン。書き加えられたものか? これらが主体として人魚姫シナリオを発生させた可能性も疑われる。


所持品

レーザー銃

 グレイ型、タコ型が所持していた。

 約20キロワットのパルスレーザーを発射するライフル型の銃。作動する状態のものを7丁、破損や故障があるが原形を保っているものを12丁保管している。

 大きさに対して異常な出力を持っているが、大気中では大きく減衰し、有効射程は10メートルもない。とはいえ、SEATが受けた被害の9割は、この武器によってもたらされた。

 100人の小さなエイリアンに書かれている通りのものだとすれば、宇宙空間戦闘用。大気中で減衰が大きいのはそのためか。


追記

 作動する7丁のうち1丁を分解して、素材の来歴、内部の構造等を調査しようとしたところ、バッテリーと思しきパーツが爆発し、大破。

 対応を再検討中。


生体ツギハギ装置

 █████学校の校舎内で発見。絵本のとおりならグレイ型の所持品。

 生理食塩水で満たされた幅3メートル、高さ3メートル、奥行き2メートルの直方体水槽に、チタンのフレキシブルアーム12本と、液晶タッチパネルが備え付けられた装置。

 不可逆的な身体改造を受けた█人はこれの被害を受けたものと思われる。

 これを用いた被害者の救済が提案されたが、操作パネルが解読できなかったことから、より致命的な事象を引き起こす可能性が高く、解体し、溶融処分した。


円盤型飛翔体

 タコ型が搭乗していた。

 アダムスキー型円盤をモデルにしたと思われる直径2メートルほどの飛翔体。

 SEAT隊員に対してリング状のレーザーを発射し、一時的な視力喪失を引き起こしたが、重大な傷害を与えることはなく撃墜された。

 そういうものであったのか、レーザー銃とは異なり、出力に問題があったのかは定かではない。

 全て地面に衝突して爆発、大破してしまったため、一人乗りで、アルミ合金の装甲にケブラーで裏張りがされていた以上のことは不明。


通信機

 頭部インプラント型、ワッペン型を確認。

 電波による送受信機構と、レーザーによる送信機構を持っている。レーザーは送信機の位置から、上空との通信を企図したもののようだが、大気中では10メートルまでしか届かない。

 母船が存在していて、まだこれを駆除できていない可能性が示唆されているが、それらしいものは確認できていない。

 とはいえ、母船は100人の小さなエイリアンにも描かれているので、召喚されている可能性は十分に考えられる。


母船

 未発見だが、100人の小さなエイリアンには描かれているため記述。

 所持品と宇宙人の縮尺が絵本とほぼ一致するため、もし召喚されていれば全長12メートルほどの大きさだろうと思われる。

 所持品が絵本以上の機能を示した例は見つかっていないので、不可視化する機能の描写が無い母船が空を飛んだなら、何かしらの目撃情報が得られるものと思われるが、それも無い。異常図書1351-9-13に残っているということも無い。

 輸送船であることから、絵本から外に出るために使われた。つまり[召喚料]になった可能性が指摘されている。


備考

 もし「呼び出された」のではなく「飛び出して来た」のだとしたら、これは人魚姫シナリオによって生成された異常図書で、地球は狙われているということになるのだろうか?

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