異常図書140A-7-1D[とりかご]

分類:図書凶器(暫定)

人気推定値:計測不能

状況:救出作業中

発見時の脅威:監禁/赤 ページ内監禁

現在の脅威:監禁/赤 同上


作品の概要

 デフォルメされた小鳥(品種不明、造形はヒヨコに似ている)が、花園で遊んでいる様子を多彩な塗料(墨液、顔料、木炭、アクリル絵の具等)で、和紙に描いた絵が63枚、その次の最後の1枚には直方体の木製かごが描かれており、中から極めて写実的に描かれた42人の人間がこちらに手を伸ばしている。

 これら64枚に表紙と裏表紙を加えた66枚の紙をポリエステルの紐でとじた画集。

 紙のサンプルを採取した結果、紙は14〜20世紀のものとわかったが、14世紀の紙には、ふすまに使用していた形跡があり、制作時期の正確な割り出しは困難である。

 小鳥の造形が2008年からWEB上で活動しているイラストレーター、████氏のものに酷似しているが、関連性があるのか、偶然の一致かは不明(制作に████氏の関与は確認できなかった)。


異常の発現

 直方体の木製かごが描かれている最後のページを5秒以上開くと異常を発現し、絵が動き出す。

 この時[名前に鳥に関する字(鳥、翼、鷹、鶴等)が入っている人間]が近くにいると、かごがズームアップされ、格子の隙間が約7センチになると、ページ内から多数の人間の腕が飛び出して、対象の捕縛を試みる。

 偶然異常を発現した職員をその場で救助したため、捕縛されるとどうなるかは不明。本に押し付けられて致死傷性事象となるか、図書内に引きずり込まれ、かごに閉じ込められるものと思われる。


追記

 服部はっ[とり]で捕縛現象を発現することを確認。波戸崎[はと]ざき高橋[たか]はしには無反応だったことから、読みの場合は[とり]のみ反応するものと思われる。

 念のため、戸取と[どり]、み[どり]等、名前の読みに[どり]が入る職員も接近を禁止。


発見と対応

 休暇中の職員3人が趣味で立ち寄った骨董市で発見。烏間[からす]まが捕縛現象を発現させたことから異常図書と断定。

 通常なら焼却処分とするところであるが、異常の性質を鑑みて、かご内の42人を検証したところ、行方不明者データベースに特徴の一致する人物が18人確認できたことから、処分を一旦保留し、救出手段を検討中。

 24人についても検証を進めているが、第2次世界大戦期の米軍フライトジャケットを着用している白人男性や、江戸初期の高身分と思われる女性等、相当過去に閉じ込められたと思われる人物がおり、全員の身元の特定は困難と思われる。


異常発現の原因

 素材分析のため全ページからサンプルを採取した結果、特異なものとして、小鳥の絵が書かれた部位から人間のDNAを、かごが書かれた部位から未知の生物のDNAを検出。

 [特異知的生物]によって、あるいは[特異知的生物]を利用して制作された可能性がある。


現状

 複製の有無の確認と、なんらかの形で制作に関与していると思われる[特異知的生物]および、被害者救済の手がかりを得るため、異常図書140A-7-1Dの来歴を調査中。

 また、かご内との会話を試みているが、反応が得られていない。

 実のところ、かご内に描かれている人間は、被害者の姿を写し取っただけで、実際には死亡しており、異常図書140A-7-1Dの一部に成り果てているのではないかという疑いがある。

 捕縛現象を発現した際に飛び出してくる腕を逆にこちらから引いてみる、異常図書140A-7-1Dに加筆を試みる等の手段を検討中。

 これらが失敗、または中止になった場合、遺憾ではあるが被害者の救助を断念し、焼却処分することになるだろう。


追記

 江戸初期の高身分と思われる女性が、かご内から消失し、かご内の人数が41人に減少。10枚目(木炭が使用されているページ)に小鳥が1羽増加し、この部位から採取したサンプルで人間のDNAを検出。性別の分析結果は女性だった。


備考

 全ての小鳥は捕縛された人間? もしそうだとすれば、既に250人以上が異常図書140A-7-1Dの犠牲になった計算になる。かご内の41人だけでも、なんとか救助できないものか。

 ↑しかし、上記の現象は、かご内の人間が異常図書140A-7-1Dの影響を受け続けていることを示唆している。最悪の場合、脅威:召喚/黒の事象が発生するのでは?


予定

 異常図書140A-7-1Dの来歴調査は20██年まで継続。それまでに何も得られなかった場合、焼却処分とする。

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