異常図書1406-12-1B[食中毒対策マニュアル]

分類:召喚媒体

人気推定値:524vol

状況:掲載物・原稿の焼却/筆者を尋問中

発見時の脅威:召喚/赤 病原体の拡散

現在の脅威:召喚/黄 中度の再拡散の危険


作品の概要

 2006年12月、████社から出版された、食中毒の恐ろしさと、食中毒にならないための対策が書かれた啓蒙書。

 全編に渡って、手指洗浄の重要性を偏執的なまでに繰り返し強調している。


異常の発現

 人間が皮膚で直接2秒以上触れると異常を発現し、触れた箇所を1平方センチあたり約5000万個という極めて大量の食中毒細菌・ウイルスで汚染する。


発見と対応

 20██年12月、全国的に発生した食中毒事件において、赤痢菌、コレラ菌、腸管内病原性大腸菌、ノーウォークウィルス等、通常考えられないほど多様な食中毒病原体(調査に当たった関係者は「食中毒の万国博覧会」と評した)が検出されたことから、特に患者が多かった██県の保健所が不審に思い調査したところ、患者の共通の所持品として発見。

 保健所から異常図書の可能性があるとの通報を受けて調査したところ、上記の異常性を確認したため異常図書と断定。ただちにバイオテロ対応を要請し、掲載物・原稿の回収、焼却を行った(1冊を解析用サンプルとして[特秘施設]BSL-4実験室にて保管中)。

 また、筆者に事情聴取を行ったところ、故意の制作をほのめかす発言をしたため逮捕し、異常図書の制作技術をどのようにして手に入れたのか、尋問と並行して調査中である。


異常発現の原因

 各ページから採取したサンプルを調査した結果、大腸菌のような形状に加工されている紙繊維の存在を確認。さらに調査を進めたところ、患者の体内から検出された病原体の形状全てを確認した。

 これらを培養した人間の皮膚細胞に接触させたところ、紙繊維が細胞のように振る舞って病原体を生成。現在、何がこの現象を発現させているのかを調査中。

 また、筆者のみでこれを完成させたとは考えにくいことから、████社と███印刷の捜査を開始。


追記

 (黒塗り解除)八可本やかもと印刷がダミー会社であることを確認。制作技術の出所である疑いが強まった。


現状

 市場流出分は完全な抹消に成功したものと思われるが、八可本印刷が野放しになっているうえ、コピーを所持している疑いがあり、脅威度を緑に設定するには再拡散の危険が高い状況にある。

 ████社は八可本印刷について、「ちょうど新しい取引先を開拓しようと思っていて見つけた。営業を名乗る女1人に会った以外は、メールや電話、チャット等、オンラインのやり取りしかしていない」と話している。

 オンライン上の痕跡から足取りを追跡中。


 筆者は制作の動機について「衛生意識の低さ、手指洗浄の不徹底に2人の子供を殺された。これはその復讐である」という内容を語っているが、筆者に婚姻歴は無く、養子を取った記録も無い。

 子供の年齢と名前について黙秘を続けているため、内縁関係、あるいは一方的な妄想の可能性も含めて人間関係を調査している。

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