第11話 バールのような、お手入れします

 無事に買い物を終え帰宅した康太をヨウナは出迎えた


「ただいま~」


「お帰りなさい康太さん☆」


「油買って来たぞ」


 康太は買って来た椿油をヨウナに見せた


「おお~! なんかよく分からんビンに入ってます。さっそく使いますね~☆」


 康太は ”待てよ、このまま油塗らせていいのか?” と思い呼び止めた


「待ってヨウナ、油使う前にシャワー浴びようか」


「シャワー?」


 康太はヨウナを浴室に連れて行き、使い方を説明した


「ここを捻るとお湯が出るから、これで身体を濡らして」


「おお~」


「この石鹸をボディブラシに擦り付けてから身体を洗ってね。髪はこのシャンプーを使って、この上の部分を押すと出るから」


「ほほぉ・・・」


 康太は ”工具だし、水気は嫌がるかな・・・” と不安に思ったが


「石鹸と水で洗浄とは贅沢ですね☆」


 ヨウナは乗り気で、康太は一安心した


「ほ…。じゃあ洗い終わったらそこのタオルで身体を拭いてから出て来てね」


「はい!水気はちゃんと拭き取ります☆」


「それじゃ、僕は部屋で待ってるから」


「はい、さっそくゴシゴシとぉ~・・・」


 康太はヨウナが脱ぎだす前に外に出て、しばらく待っていると


「康太さん、洗い終わりましたけどまだ湿気が残ってますぅ~」


「こらこら、ちゃんと身体にタオル巻いて隠して! ドライヤー使うからそこに座って」


 康太はヨウナをドライヤーで乾かした


「おお! 温風がぁ~♪」


「次は一人でやるんだぞ。熱いとかない?」


「これしきの温度では焼き鈍りをおこすほど軟じゃありません! ダイジョブです」


「そ、そうか」


 乾かし終わった後、ヨウナは立ち上がって油をの入った瓶を手に取った


「よし!感想完了です☆ さっそく油でコーティングを~」


「ちょっと待って! 今部屋を出るから!」


 タオルを投げ捨てて油を塗ろうとするヨウナを見て、慌てて康太は部屋に出た。部屋からは楽しそうなヨウナの声が聞こえる


「つけ過ぎないように少量づつ、油をまんべんなくぅ~♪」


「まったくもう・・・」


 康太がしばらく待っていると突然ヨウナに呼ばれた


「康太さん!大変です来てください!」


「どうした!?」


 康太が部屋に入ると、ヨガのポーズをした様なヨウナが居た


「せ、背中が塗れません~ッッ」


「わかった・・・、そこは縫ってあげるからじっとしてて」


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