第4話 バールのような結婚話の様な何か

 目玉にマグネットを引っ付けられて怒るヨウナに平謝りする康太


「も~、いきなりひどいですよ康太さん!」


「ははは、ごめん」


 康太は ”しかしバール?どいう事だ?” と少し冷静になりかけた所に、女性の声が響いた


「おはようございまーす」


「小林さん!?」


 康太は ”まずい、バイトの子が来ちゃった” と焦って待ってもらおうとしたが


「どうしたんですか康太さん?」


「小林さん、ちょっと待ってもら・・・」


「ガチャ」


 入って来てしまった


「あれ? 康太さんその子は?」


 不思議そうにヨウナを見る小林を見て、康太は ”どうしよう” と混乱しながら考え


「えっと・・・、親戚の子だよ」


 康太は誤魔化すことを選択した


「ヨウナです。よろしくです☆」


 ヨウナは元気よく返事して、康太の話に合わせたようだ。バイトの小林は納得したようで、ヨウナに挨拶した


「ヨウナちゃんか。私は小林こばやし美里みさと、ここでバイトをしているの。よろしくね」


「はい、小林さん! ・・・・ところで小林さん」


「ん? なに」


 ヨウナは不思議そうな顔をしてキョロキョロしながら2人に質問した


「小林さんはここのバイトさんなんですよね? どうして雇い主の康太さんを名前で呼んでるんです?」


 康太がその質問に早く反応した


「ああ、それか・・・」


 小林が質問の答えを言い、康太も続けて答えた


「あ~、初めは私も苗字で呼んでたんだけど」


「いつの間にかお客さんから僕が小林で、彼女が松美って呼ばれるようになって、ややこしいから名前で呼んでいいと僕から言ったんだ」


 ヨウナは2人の答えを聞いて、アホ毛をブンブン動かしながら納得した


「あぁ~、松美が女性の名前と思われたんですね」


 さらに二人も続けて言った


「うん、でもしばらくは小林・康太だったよ僕」


「私は小林・松美だったわ・・・。そうしたら一時期私達が結婚したって噂が♡」


「アレは地味に大変だったね。というか僕は名字で呼んでるのに何故夫婦だと」


「康太さんも私をミ・サ・トって呼んでくれたら解決したのに」


「ごめん、それは勘弁して。ミサトって僕の母さんと同じ名前だから呼びにくくて」


 ヨウナはポツリと言った


「本当に結婚したら同姓同名という嫁姑問題が起きて、さらにややこしい事になりますねぇ」

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