第3話 バールのようなの証明
康太は抱き着いて来るバールの自称するヨウナを引きはがして間合いを取った
「はぁ…はぁ・・・、バ、バール? 君がぁ? ッぜぇぜぇ…」
「は、はいそうです・・・、バールです・・・、ハァハァ…」
康太は ”この電波めッ! 一度大人しくさせないと話も出来ないな。さて、どうするか・・・・” と考えながら警戒していると、ヨウナは思い出したかのように言ってきた
「そういえば康太さん、樽開けなくていいんですか?」
「え? まあ、開けないとな・・・」
「それじゃあ私に任せてください☆」
そう言ってヨウナはコーヒー樽に近づいて行った。それを見た康太は ”道具も無いのに樽を開ける気か? よし!さすがの電波娘も樽に苦戦すれば自分をバールと言い張れないだろう! さあ工具と人間の違いを自覚するが良い!” と心の中で思いながら見守ることにした。すると彼女は・・・
「ふん!」
「ガン!」
樽に思いっきり頭突きし出したので康太は動揺した
「え、ちょっとキミ何やってるの!」
「まず叩いて釘の頭を出さないとですよ☆ そして釘抜きで・・・」
ヨウナはそう言って、先が二股の後ろに伸びたアホ毛?を器用に釘に引っかけ、おでこを支店にする様に力をかけ
「よいしょ」
「クゥン」
樽の蓋を固定する側面から打たれていた釘を引っこ抜いた。康太は思わず力の無い声を出す
「ええ~・・・」
戸惑う康太を気にも留めず、ヨウナは同じ手順で残りの釘を抜いて行った
「よい、よいっと」
「クゥン、クゥン、クゥン」
そして彼女は立ち上がり
「そいや!」
「ガッ!」
樽の蓋の縁に貫手で突き刺し、樽の蓋を持ち上げた
「ふん、これで分かってもらえまいたか康太さん」
勝ち誇る様に胸を張っているヨウナを見て康太は ”バールだ! 少なくともバールのような身体能力を持ってるのは確かだ!” と動揺したが直ぐに思いとどまり
「くっ!」
”いや待て、何かトリックがあるんじゃないか? 運び込まれた直ぐの樽に仕掛けを? いや!そう言った固定概念につけ込むのが
「う~む・・・・・」
”何か無いか・・・、は! そうだ!”
「これだ!」
そういって康太はホワイトボードに張り付きていたマグネットを一つづつ手に取り、ヨウナにゆっくりと近づけた
「なんですか?」
「これを見ろ・・・」
何だろうと磁石に顔を着かけて覗き込んだ瞬間
「今だ!」
康太はマグネットから手を放す。すると磁石の磁力でヨウナにマグネットが引っ付いた
「痛あ!?」
決定的な証拠だった。磁石は人間なら物を仕込めるはずもない彼女の目にピタッと張り付いている。いきなりの事でヨウナな悶えてる様だったが
「目がぁ、目がぁ~!」
これで康太は確信する
「磁石でくっ付く・・・間違いない、バールだ」
ヨウナは磁石を剥がしながら康太に抗議した
「確認する所これですかぁ!? もっと違う方法がありますよね!」
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