第2話 バールのような彼女

 バールを取ろうとしたら謎の少女を掴んでしまい、康太は混乱していたが、どうにか我を取り戻した


「ヨウナ? 君こんな所で何してるの?」


「こんな所って・・・、いつもここに置いてくれたじゃないですか康太さん」


「なんで僕の名前知ってるの!?」


 驚く康太の姿を見て首をかしげるヨウナと名乗る謎の少女


「何故って、バイトの人が康太さんって呼んでましたけど・・・、ちがうんですか?」


 ”ウチのお客さんだったのか?”と康太は考えながら言った


「ええと、まあ、僕は康太だけど。君はなんでここに?」


「なにって私バールだし、いつも使ってくれたじゃありませんか」


 ”何言ってんのこの子”とジト目で彼女を見る康太


「康太さんどうしたんですか?」


 ”これはもう・・・あれだな”と決意した康太は手短に告げた


「ここで待ってて」


「はい☆」


「今警察を呼ぶから」


「ええ~!?」


 ”これはきっとアレだ、家出娘か何かだ。止まる場所に困って取りあえず知ってる店に入って来たに違いない。事情も知らないし下手に説教するのは止めて、素直に専門家に任せよう、そうしよう”と思いながら康太は彼女に言った


「大丈夫、不法侵入で起訴とかしないから。警察官に事情を話して保護してもらいなさい。あ、ついでにコーヒーとケーキを用意するから、それ飲んで落ち着いて・・・」


 康太の言葉を聞いたヨウナは泣きながら飛びついた


「わたし家出少女とかじゃないですぅ~ッッ! バールですよ、貴方のバールゥ!!」


 ヨウナに激しく揺さぶられながら康太は言った


「た、確かにここは僕のカフェバールだけど!」


「違いますぅ!工具のバールですよ!」

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