「今もその洋館は存在しているんだろうな。そして住民に栄光を与える。代償と引き換えだが…」

 美優志の話はそこで終わった。彼の家族については残念に思うが、

「君は、逮捕されないのか? 放火は罪が重いんだぞ?」

「俺は確かに焼いた。燃え尽きちまえばよかった。でも、洋館は未だそこに存在してるんだぜ? 本土に残っている雲雀が先週も確認に行って、写真を送ってくれた。何に放火したって?」

 美優志は写真を見せてくれた。そこには綺麗な洋館が写されている。どこも焦げてすらいない。これじゃあ警察は美優志の話を信じないだろう。想像に難くない。

「この写真、もらっていいかな? ある種の心霊写真じゃないか?」

「持っていけよ。もう、見たくもないんだから」

 だが俺は、すぐに美優志に返却した。これを持っていると、俺にも代償を支払わなければいけない時が来てしまいそうな気がしたからだ。

「シュレッダーだな。炎は受け付けないみたいだからな」

 美優志は機械に写真を入れて、バラバラにした。

「あの洋館も、こうなればいいのに。氷威さんよぉ、本土で暮らすんなら、あの洋館だけはオススメしないぜ」

 俺は、美優志の言葉に頷いた。

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続・怪体心書 杜都醍醐 @moritodaigo1994

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