続・その四 進化する呪い
壱
鹿せんべいを持っていると鹿にモテると聞いた。だが実際には、鹿は勝手にせんべいを食べようと口を近づけて来る。これはモテるというより窃盗だろう…。
「すまないね。僕は今年はまだ、未成年なんだ。来年からなら飲めるんだ…。居酒屋とかで酒をかわしながら話ができれば一番いいんだろうけど」
今日の相手は、
「気にしなくていいよ。それよりメールの話は本当かい?」
彼から受け取ったメールには、マガタマヲトコのことが書かれていたのだ。
「本当だけど、詳しくは知らないんだ。人から聞いた程度にしか、ね」
俺は思った。マガタマヲトコの話は、地方で語り継がれているタイプの怪談。なのに別の地域に住む入飛がどうしてその背景すら把握している?
「この手の類の話なら、たくさんあるよ。ムラサキカガミってわかる?」
「ああ、あの二十歳になるまで覚えていると死ぬってヤツだろう?」
「さすがだね。じゃあ、シボウシャは? スズムシなんてのもあるけど? あとは…呪われた灯・留まりの島とか」
それらは聞いたことはない。
「そうか。でもその旅で、きっと知ることになると思うよ」
その話、今ここで教えてくれてもいいんじゃないか。入飛は考古学専攻の学生と聞いていたが、随分と色々怪談話が出てくるじゃないか。
そんな入飛が今話してくれるのは、幼馴染の話であるという。
「さっきのは全部、その子から聞いたんだ」
「ほう。そんな物好きが?」
「今も元気にしているのかな…。生きてることはわかってるんだけど、どこで何をしているかは、知らないんだ」
オレンジジュースを少し飲むと、彼は話を始めた。
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