「…以上よ。少しは参考になったかしら?」

 俺は頷いた。

「ふむふむ。なかなか興味深い話だったよ」

「そう。でも一つだけ、残念なことがあるの」

 それは何? と聞くと教えてくれた。

「事件は解決したけど、死んだ人は戻って来ない。それと同じで、あの守り神ももう、いない。この森は誰のものになるのかしらね…」

 そうか。焔に最後を託したということは、守り神はもう、森を守ってやれないということか。そう語る焔の表情はどこか、悲しげだった。

 俺は山寺の近くの森林を見て、思った。

 この森は誰のものなのだろうか。

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