肆
何故私は、人を襲う夢を見るようになったのか?
何が目的で人を殺しているのか?
夢の中で自由に動けないのはどうしてか?
この夢には何か、意味があるのか?
私は骨谷に聞いてみた。
「前世の記憶っていう感じじゃないな。そんな罪深い害獣が人間にしてもらえるの? 神様の手で?」
骨谷は馬鹿らしく笑うので、スネを蹴ってやった。すると真面目に話を聞いてくれた。
「夢ってのはさ、二通りなんだと思う」
「ドレと、ドレ?」
「俺が思うに一つは、願望。よくあるじゃん? 願望が夢に反映されてそれを見るとかさ。空を飛んでみたいから、そういう夢を見る、とか」
私は怒って、
「じゃあ何? 私が人を食い殺したいとでも! ひっどーいわね、あなたって人は!」
「もう一つ…それは予知夢だ」
骨谷によれば、一種の超能力のようなもの。事前に起きることを夢で見ることがあるらしい。
「もし焔が見る夢が予知夢だというのなら、近い将来現実に殺人事件…というより食害事件が起きるってことだ。焔はそれを事前に知る術を身につけたってわけだな? どうやったのかは知らないが」
「じ、じゃあ! 事件は防げるのね!」
私が期待を込めて言うと、
「無理じゃないか? どこの森かわからないんだし、日本じゃないかもしれない。それに害獣に焔が勝てる?」
と骨谷は言うのだ。
彼の言うことは正しい。私は引き下がった。
「でも不思議なのは、たかが夢なのに妙にリアルな感覚なんだね? 迸る血潮、砕かれる骨、血の匂いに味…。普通そこまで覚えてられるか? 寝てる間に見る夢だぞ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます