何故私は、人を襲う夢を見るようになったのか?

 何が目的で人を殺しているのか?

 夢の中で自由に動けないのはどうしてか?

 この夢には何か、意味があるのか?


 私は骨谷に聞いてみた。

「前世の記憶っていう感じじゃないな。そんな罪深い害獣が人間にしてもらえるの? 神様の手で?」

 骨谷は馬鹿らしく笑うので、スネを蹴ってやった。すると真面目に話を聞いてくれた。

「夢ってのはさ、二通りなんだと思う」

「ドレと、ドレ?」

「俺が思うに一つは、願望。よくあるじゃん? 願望が夢に反映されてそれを見るとかさ。空を飛んでみたいから、そういう夢を見る、とか」 

  私は怒って、

「じゃあ何? 私が人を食い殺したいとでも! ひっどーいわね、あなたって人は!」

「もう一つ…それは予知夢だ」

 骨谷によれば、一種の超能力のようなもの。事前に起きることを夢で見ることがあるらしい。

「もし焔が見る夢が予知夢だというのなら、近い将来現実に殺人事件…というより食害事件が起きるってことだ。焔はそれを事前に知る術を身につけたってわけだな? どうやったのかは知らないが」

「じ、じゃあ! 事件は防げるのね!」

 私が期待を込めて言うと、

「無理じゃないか? どこの森かわからないんだし、日本じゃないかもしれない。それに害獣に焔が勝てる?」

 と骨谷は言うのだ。

 彼の言うことは正しい。私は引き下がった。

「でも不思議なのは、たかが夢なのに妙にリアルな感覚なんだね? 迸る血潮、砕かれる骨、血の匂いに味…。普通そこまで覚えてられるか? 寝てる間に見る夢だぞ?」

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