続・その二 この森は誰のもの

「ひー…」

 俳句が有名な山寺に来たのはいいのだが、こんなに階段あるのか? それは聞いてない。

 祈裡は自分にかまわず、ささっと登って行ってしまった…。少しは心配してくれてもいいよな…。

 何とか近くのベンチに座って休んでいると、隣に女性が座ってきた。

「…随分と汗だく、酷い表情だけど大丈夫?」

「ちょっと、飲み物が欲しい…」

 すると、自販機で買ってきてくれた。氷威は差し出されたスポーツドリンクを受け取り、一気に飲み干す。

「ありがとう。生き返ったよ」

「いえいえ。山では助け合いが基本なの」

 助け合いか…。祈裡に耳が腫れるほど聞かせてやりたいよ。

「それにしても一人で来るなんて、結構無謀ね」

「違うよ。仲間に置いて行かれたんだ…」

 じゃあ一緒に探そうと、その女性は提案した。

「俺は天ヶ崎氷威っていうよ。よろしくね」

「私は麻倉焔あさくらほむら。氷威って聞いたことあるわね。確か旅人の運営する怪しいサイトがあるとかないとか…」

 それは正真正銘の俺のサイトで、怪しくないと大声を出した。

「じゃあ、私の話聞く? 嘘か本当かはあなたが判断するとして」

「いいよ」

 そういうと、焔は話し出した。

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