第20話
朝のお勤めを終えた私は、御用聞きのセグさんと一緒に、荷車を引いて村長さん宅へ向かった。村を歩くのも何だか久しぶり。
相変わらずくむくむされながら、敢えてゆっくりと歩く。
控え居ろうお前達! このお方を誰だと心得る、これからくむくむ村に洗濯革命をもたらす、名発明家、セグ様にあらせられるぞ!
って事で、セグさん作のローラー君2号を奥様にお届けに上がるのだ。
コーディーさんのお役に立てるね。意気揚々と歩く私は改めて、この村の素晴らしさを実感した。くむられるだけで、石を投げてくる人なんて居ないしね。
途中で、大人が先導した子供たちの行列に出会った。園児ぐらいの年だね。皆、凄いワクワクした顔をして居る。それぞれ風呂敷を背負っているし、遠足にでも行くのかな?
相変わらず老人達も寄り集まって、くむりながら楽しそうに手仕事をしているし、老人と子供が笑顔なのはいいね。
「ユウナ!」
あと少しで村長さんのお宅と言うところで、ウロウロしていたコーディーさんが、叫んで抱きついてきた。
「コーディーさん、まえ、ありがとうございます」
言いながら、背中をポンポンしてみる。え、熱烈歓迎過ぎないかい?その後凄い勢いでくむられて、お礼を言われた。
偉大な発明が伝わった······からではないよね。涙を拭くコーディーさんに連れられて、村長さん宅へ。
呼び出してもらった奥様は、相変わらず美しい波打つ御髪を、プレゼントした
「あーら奥様、おひさしぶりです。まえ、ありがとうございます」
私は深々とお辞儀をして、挨拶の言葉を述べた。ふっふっフィナちゃんから(お久しぶりです)と言う挨拶を引き出し、覚えることが出来たのだ。
奥様は、私に優しくハグして下さった後「ユウナ、ありがとう」と仰って下さり、コーディーさんと抱き合って落涙なされた。
なになに?ちょっと置いてけぼり。頭の周りにはてなマークを沢山浮かべる私。温かな目で見守るセグさん。
「アミル、アミルありがとう。私のフゥブナィありがとう」
アミルくん?······えっ、アミルくんってコーディーさんの息子さんなの?! 聞いてないよ!
(フゥブナィ)が何か分かってないけど、この感じは息子さんか、すごい近い親族だよね。
この前落ち込んでたのは、アミルの事だったんだね。って事はやっぱり息子さんなのかも、凄い落ち込みようだったし。
茶室でいいのかな?広間の隣のテーブルに通された私とセグさんは、美味しいお茶を頂き落雁をつまみながら、アミルくんの話をした。
いや、勿論ほぼセグさんが話したよ。私が言ったことと言えば「アミル元気、
アミルくんは5男らしいよ、5男3女でアミルくんは末っ子らしい。現代日本ではなかなかお目にかかれないね。
そして今日も奥様のジェスチャー?が秀逸です。
奥様はエルちゃんに合ったらメロメロじゃないかな。みうを大分可愛がって下さったし。
カイくんだって、あんなに怖がっていたのに回復した途端、可愛い赤い紐を買って来てエルちゃんの首にリボン結びにしてあげていた。
まぁ、毎日水汲みに来てくれてたるるちゃんに詳細は聞いてるだろうと思う。
一服した後、ユウナ·セグローラーを実演することになった。
中庭に移動して、
そうなのです、1号と違ってハンドルが着いているのですよ!これにより、1号では不可能だった薄手の衣類などの脱水も可能となったのです!
ほら見て奥様、コーディーさん! 皺もほぼないしなんと言っても早いでしょ?
大絶賛のユウナ·セグローラー2号が中庭に設置され、増産の運びとなった。セグさんと相棒の鍛冶屋さんはこれから忙しくなるね。
ローラーデモを終えて帰ろうとすると、奥様に引き止められた。
空になった荷台に薄紅色の作務衣と寝巻き、手拭い数枚と下着を包んだ風呂敷と、でっかいスイカを乗せて下さった。スイカを固定するのになかなか苦労した。
確かに洗濯が大変なので、追加の服が欲しいと思っていた所だった。奥様…お気遣い感謝します。
「あーら奥様、ありがとうございます」
私が奥様に深い感謝の気持ちを捧げていると、コーディーさんが荷物を背負ってやって来た。
痣も薄ら見えるぐらいになった為、面会可能になったらしい。
あ、コーディーさんここに荷物載せてください。
「奥様、さようなら」
では、奥様。またお会いしましょう。行ってまいります。っと歩きだそうとすると、普通に奥様も歩き出した。
あれ、見送って下さった訳では無いのですか?奥様もサヒラーさんのお宅に?いや、嬉しくない訳では無いのですよ。ただ、奥様のフィナちゃんに対する態度がちょっーと気になるというか……フィナちゃんはフィナちゃんで異常にサヒラーさんを崇拝してるし。
もしかして奥様って、ブラコンなのかな?
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