第41話 プラスチック製品

魔法は便利だな。

改めてしみじみと思う。

特に今回の魔法陣を利用した魔法はよかった。

カオリは魔法陣について詳しい。

どのように作ったらよいのかを教えてもらってプラスチックの処理によい魔法陣を作り出すことができた。

「いや、カオリのお陰で助かったよ」

「任せてといいたいけど、こんな使い方タカシさんだからできるのよ。よくこんな凄い魔法陣が作れたわよね」

「プログラムを組むみたいで面白かったよ」

すごく便利な魔法陣だった。

容器に魔法陣を付けることによって一定の時間が過ぎると容器を分解する魔法が発動させることができた。

今、容器に利用しているプラスチックは炭素と水素と酸素からできている。

これから少しは違う元素も入ってくるかもしれないが微量だろう。

容器を魔法陣を描いた専用の用紙で作ったシールを張り付け、魔力を流すと魔法陣の横に数字が出現する。

この数字が容器を分解する魔法が発動するまでの時間だ。

途中で魔法陣に再び魔力を流すと容器を分解する魔法が発動するまでに時間を延ばすことができる。

この魔法陣に流す魔力は僅かで済んだ。

1日から最長999日まで設定できるが、1日単位の微妙な調整は難しい。

魔法が発動するとまず炭素が二酸化炭素になりついで水素が水蒸気になる。

酸素はプラスチックを構成する原子が利用されるが、足りなければ空気中のものが使われ、余れば空気中放出される。

理論上酸素が余ることはないはずなのだが。

窒素があればそれは空気中に放出される。

金属などはそこに残るだろう。

手に持っていても問題がないが容器が無くなって中身が出てしまうのでいつ魔法が発動するか注意が必要だ。

これによって容器に使われるすべてのプラスチックが自然に分解できるようになった。

容器以外で使われるプラスチックは今は保留にした。

今は社会に出すプラスチックは容器等だけにする。

王様とも会談を行い、プラスチックに関する法律も作ってもらい、プラスチックのリサイクルを義務化することができた。

同時に有機物のごみを原料にする仕組みの整備も進めることができた。

そして温泉町と王都にプラスチックの容器を中心とした製品を作る場所を確保した。

今回作るのは広口の瓶、ボトル、コップ、皿、どんぶり、桶にした。

広口の瓶は20L、10L、5L、1Lの4種類、ボトルは細口で2Lと1Lと500mLにした。

製品は商業組合を通して卸し、販売することにした。

原料から製品にする過程は魔道具を使っている。

信用のおけるいくつかの工房に作れるようにしたいのでそのための講習を考えている。

講習ではただ作る方法だけでなく環境破壊につながらないような使い方についても学んでもらいたい。

そのためには職人だけでなく工房の経営者も含めて講習を受けてもらう必要があるだろう。

さらには一般市民へのプラスチックの製品をうまく利用していく方法の啓発活動も必要になってくるだろう。


一般へのプラスチック製品の販売は7月初めからにした。

水屋では6月下旬から容器に入った形の水の販売も行うことにした。

美味しい水の半額程度の値段設定にした。

つまり10Lの瓶は50円になった。

水屋で販売した容器には印が付いており販売価格の8割で引き取った。

法律で廃棄が禁止されているので水屋で買ったものは水屋で引き取ってもらうのが正解だ。

廃棄したいときは専用の引き取り所に提出することになっている。

無料で引き取ってくれる。

引き取ったプラスチック製品からは魔法陣の紙シールを専用の魔道具で剥がしてリサイクルの原料にした。

リサイクル率を100%になるように努力したいが回収の網から零れてしまったものも分化してくれるはずなので少しは安心できるか。


「次は何にプラスチックを使うの?」

「うーん、住居や車両の窓かな。そして衣類。どちらにしろ廃棄する時のことをしっかりと考えないといけないよね」

「難しいわよね。さらに他の国でも使えるように考えるとさらに大変よね」

「今はアクア王国だけだからね。他国も欲しがってくるだろうね。魔道具の盗難にも気を付けないといけないよね。まあ、盗んでも使えないだろうけど」


魔道具には認証システムもつけてあるので簡単には使えない。

プラスチックの長所と短所をよく理解してから使ってもらわなければいけない。

私たちが持ち込んだ技術がこの世界にとって害にならないようにしたいからね。

新しい素材が地球で起こっているようなごみ問題にならないようにしたいね。

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