第38話 温泉町の産業と経済

この世界の経済について考えてみる。

アクア王国の王都で平民一人が一月に必要なお金はいくらか。

所得税を除いた後で大体1万5千円もあれば十分なようだ。

家賃   3000円

食費   9000円

住民税   600円

教養娯楽費 800円

医療費   300円

衣料費  1000円

日用雑貨  300円

こんなところだ。

この温泉町ではこの一年間は家賃がかからない。

税金は住民税が一年間免税されている。

所得税は国に納めるものだが減税処置が施されている。

まだスタートしたばかりのこの町はまだ経済が回っていない。

新しい住民はまだ収入がない人たちが多い。

それではお金を使ってくれない。

私は塩や水の売り上げで得た代金をこの町のために使っている。

行政関係者の給与や職業訓練中の住民への支給金や商店の赤字の補填などに投資している。

また学校や孤児院の建設にもお金をつぎ込んでいる。

宿の改装にもお金がかかっている。

そういうわけで建設関係は盛況だ。

これらの建設のために建築業者が町に移住して活動してくれている。

彼らが町の中でお金を使い始めてくれている。

投資している額も多くなりつつあるが資金的には問題ないし投資したお金は町の中で回っていくのでよいだろう。

徐々に町の経済も動き出してきているのを感じている。

投資したお金がどんどん町から外に出てしまったら困るけどそのような事はないようだ。

それでも町で必要な金属や木材や石材や食料の購入という形では資金が町から出て行っている。

この町の食料自給率もまだ低い。

湖や川からは魚は捕れる。

このあたりの自給率は100%以上だろう。

漁を抑えているが少し近くの村に出荷できている。

これから人口が増えた時のことを考えなくてはいけないのだが。

近くの森林から山菜や猪や熊や鹿が得られる。

山の幸も自給率100%といえるだろう。

住民に狩人や採集者も増えてきている。

畑や水田や果樹園は作っているところだ。

この辺がの生産がまだほとんどない。

麦や米や野菜や果物とその加工品は近隣から取り寄せているのが現状だ。

自給率は5%以下である。

牧場や養鶏場や養豚場も始またったばかりだ。

牛肉・豚肉・鶏肉はまだ自給できていない。

牛乳と卵の自給がわずかにある程度だ。

作物に関しては近いうちにナリルに植物育成魔法をかけてもらう予定だ。

まずは畑や水田や果樹園の整備が終わってからのことになる。

魔法をかけてもらえばその後はすぐに収穫まで行くだろう。

それでも農産物とその加工品が自給率が95%以上に上がるにはあと一月はかかりそうだ。

畜産関係の自給率を95%以上にするには一年以上を考えないと駄目だろう。


町に入ってくる資金は観光客が町で使ってくれるお金がメインになる。

5月も下旬に入り、湯治宿の3軒の営業が始まった。

人口は1500人を超えた。

1日の観光客も200人ぐらいになっている。

さらに6月に入れば一般向けの宿4軒と高級な宿2軒の営業も開始予定だ。

そうなれば観光客も一日に500人ぐらいにはなるだろうし一人当たりの使うお金も増えてくるだろう。

観光客は王都から温泉町まで来るのに魔動自動車を使う。

これは片道一人100円だ。

日帰り温泉は24時間営業だが料金は24時間で200円だ。

町民用には3時間まで20円の共同浴場もある。

ここは町民でなければ使えない。

食堂もあるが食事を持ち込んで休憩室で仮眠して温泉をたっぷり楽しむ客も多い。

因みに食堂のメニューは80円のものから500円のものまである。

湯治宿は一泊食事なしで400円。

部屋はトイレ付きの個室だ。

共同の炊事場と浴場があり24時間利用可能だ。

13時チェックイン、12時チェックアウトだ。

一般向けの宿は一泊2食付き1200円から2400円にした。

高級宿は一泊2食付き12000円から36000円だ。


でもまだこれでは町に入ってくる資金は足りないと思う。

今は塩の生産で得た代金をこちらに回しているがこの町の将来を考えたとき特産品が必要だ。


あまりこの国のほかの地域の経済を圧迫しないで出荷できる特産品は何か。

「やはり塩になってしまうでしょうね」

「そうだよね」

「安定供給を考えると複数の場所で塩を生産した方がいいよね」

「それも言えるね」

今までの塩の生産を縮小して温泉町で美味しい塩を作ることにした。

そしてほかにも、

「果樹園。珍しい果物の生産がいいと思う」

「それから今までにない品種の野菜の出荷」

「こちらにないようなハーブや香辛料の生産」

「湖で美味しい魚の養殖」

まずその辺りから始めよう。

食に関する特産品の確率からかな。


山が近いから鉱山開発や石材の確保も行いたいし、学校も充実させて学園研究都市も目指したいかも。

でも一度に何もかも始めるのはよくないからまずは食の安定と特産にするのが第一かな。

それとリゾートらしい施設とアクティビティーも充実させたい。


そんな時に王宮を介して私立学校の経営者と会う機会に恵まれた。

そして温泉町に全寮制の高校と大学を設立したいという申し出を受けた。

町を囲む外壁に隣接する形で新たな外壁で囲まれたエリアを作り、そこに2つの学園が来ることになった。

ただしそれらの学校ができるのは一年後になる。

そのエリアには博物館と図書館と植物園と水族館とスポーツ公園も作ることにした。

今までの町のエリアのリゾート施設予定地には遊園地を作ることにした。

湖では遊覧船も運行することになった。

これで観光客も増えるだろう。

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