第27話 今晩は王宮で夕食

サオリとカオリの王宮に着ている服をどうしようか考えていると水屋の前に1台の馬車が停まった。

馬車からは王宮のメイドのセシルさんとミスルさんが荷物を持って降りてきた。

「タカシ様、失礼します。サオリ様とカオリ様に夕食会で着ていただくドレスを持ってまいりました。お邪魔してよろしいでしょうか」

「こんにちは。よろしくお願いします」

王妃様が手配してくれたそうだ。

二人が来るときのために服はいくつか用意してあったようだ。

早速、寝室に移動した二人はセシルさんとミスルさんに手伝ってもらって着替えをした。

サオリさんは薄い水色、カオリさんは薄い桃色のドレスで二人に似合っていた。

サイズの細かい調節はセシルさんの服を調節する魔法で行うらしい。

すごく便利だね。

ピッタリなのに動きやすいので二人とも満足しているようだ。

「タカシ兄さん、いかがですか?」

「サオリ、似合っているよ。すごく素敵だ」

「わ、わたしは?」

「カオリも可愛いよ。似合っているよ」

「は、はい」

そうこうするうちに迎えの馬車も到着した。

私も急いで着替えて、サオリさんとカオリさんとともに迎えの馬車で王宮に向かった。


王宮に着くとそのまま食堂にと案内された。

ここは王様や王族が私的に客を招いた時に使われる食堂だ。

「本日はお招きいただきましてありがとうございます」

「タカシ君ここではいつもの通り接してくれればいいからね」

「はい、では遠慮なくそのように振る舞わせてもらいます」

サオリとカオリも挨拶をした。

二人とも王妃様とユキノさんには以前にあったことがあるらしい。

再会を喜んでいた。

私の席は王様の向かいに用意されていた。

王様の右隣に座る王妃様の向かいにはサオリ、王様の左隣りに座るユキノさんの向かいにはカオリが着席した。

今日は他の王族は夕食会にはでないのだそうだ。

この国では16歳からは飲酒もできるがカオリさんは本人の希望で食前酒をジュースに変えてもらった。

彼女の真面目な一面だ。

洋食のコース料理のような感じだが和食や中華的なものもある。

味噌や醤油や豆腐なども使われているようだ。

前菜から始まり少しずつ色々な種類の料理がでてきた。

流石に刺身はないが高級な旅館に泊まった時の和洋中華入り乱れた夕食のようだ。

スープ、煮物、揚げ物、焼き物、パスタなどを時間をかけていただいた。

味噌や醤油は高価だが昔から造られているそうだ。

私の塩の供給で助けられた産業の一つらしい。

おそらく王様のご先祖様が伝えたのだろう。

ケチャップとマヨネーズは師匠が伝えたらしい。

一方スイーツはあまり伝えられいないようだ。

だからデザートは3種類の果物だった。

もちろん満足だ。

リンゴと桃と葡萄か。

堅いクッキーはあるがケーキのようなスイーツは伝わっていないようだ。


食事を終え、王様と王妃様のリビングに招待された。

水屋に王様が来た時に話し合ったことを実行するために。

王妃様とユキノさんに私たちが住んでいる地球について教えることにしたのだ。

まあ、二人とも私たちが違う世界の人間だということにはうすうす気が付いているようだが。

「ありがとうございます。大事なことを打ち明けていただいて」

「いいえ、打ち明けるのが遅くなってしまって申し訳ありませんでした」

「秘密は厳守します」

「よろしくお願いします」

多くの人たちは師匠や私たちが未知の大陸から転移で来ていると思っているらしい。


その後、女性陣はスイーツの話で盛り上がっていた。

そして、

「タカシさんは水屋でカフェを営業することは考えていないのですか?」

「今はその余裕がありません」

「それではいずれやるのですね」

「皆さんに喜んでもらえるのならやりたいですね」

「私は一度でいいから地球のカフェに行ってみたいです」

「ユキノ、無理を言っては駄目だよ」

「ウォータ様。彼女を一度は地球に招待したいと思っています。今からでも無理ではないのですが、少し時間をかけて準備させてもらえますか」

「タカシ君、いいのか」

「はい、婚約者なら一度は地球を見ておいてもらいたいと思います」

「わかった。無理をするなよ」

「わかっています」

「できるのならウォルトにもタカシ君たちの世界を見てきてもらいたいのだが」

「わかりました。検討します」

「ところで今回の褒美だが・・・・」

「そこら辺は気にしないでください。私に対する攻撃に対しての反撃ですから」

「そういうな。そんなわけにはいかない。そういえば王都の人たちのために何かやりたいと言っていたな。それに対する援助などはどうだ。検討してみてくれないかな。他の者たちとの関係もあるのでなしとはいかない」

「そうですね。考えておきます」


サオリとカオリを伴なって屋敷に帰ったのは23時を過ぎた時間だった。

今日の褒美の話について二人と相談したかったが明日にした。

明日の朝も営業するのだから早く寝たい。

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