第26話 経営方針?

魔法陣の練習をしていたらいつの間にか昼食の時間になってしまった。

魔法陣ってなかなか面白い。

ちょっとハマりそうだ。

昼食はてんぷらそば。

昨日の来客からそばと天種をもらったんだよね。

昼食後は約束通りサオリとカオリを水屋に連れて行くことにした。

水屋の中はあまり見たことがないということなので案内をした時に二人が最も興味を持ったのが倉庫だった。

二人に言わせるとお宝の山だそうだ。

師匠の作った魔道具が沢山あるからね。


二人ともそれぞれが水屋に来るためのネックレスを持っていた。

師匠から与えられたものだという。

ネックレスは屋敷の書斎の鍵にもなっている。

いつでも水屋に来ていいよと許可を出しておいた。

そして水屋に入ると腕輪をつけていた。

今までに来ていたのだから当然か。

一通り水屋の中を見た後、二人と書斎でお茶を飲みながら寛いでいる。

リビングでと言ったら書斎の本や資料を見たいからこちらがいいと言われてしまった。


そんな時、電話が鳴った。

突然でびっくりしたよ。

王様からだ。

「おお、居たな。今から行くからよろしくな」

こちらの返事も待たずに電話は切れた。

「王様から?」

「よくわかったね」

「それしか考えつかないわよ。周りに配置した警備の中の魔術師が私たちが来たことを察知したんじゃないかな」

「そうだね。それじゃあ店の方に行くから」

「私も行くわ」

「そうね、私も」


お茶とお菓子を持って店の方に移動した。

もちろん王様に出す分のお茶と菓子も用意しておいた。

5分後には王様が到着した。

はやー。

「タカシ君、こんにちは。サオリさん、カオリさん、お久しぶり」

「ウォータ様、よくおいでくださいました」

「「ウォータ様、お久しぶりです」」

「二人とも1年も見ないうちにさらに美しくなったな。おじさん惚れてしまいそうだよ」

「お上手ですね。王妃様にしっかり報告いたしますね」

「じょ、冗談だから。社交辞令だから。絶対に行っちゃだめだよ。ゼッータイに!」

王様が焦っている。

本気で焦っているよ。

王妃様が怖いの?

王様の弱点は王妃様か・・・・。

その後、王様を交えてのお茶会になってしまった。

警護の兵は店の外だ。

王様がこの間の私の活躍をサオリとカオリに話してくれるのだが誇張されていて、恥ずかしいし少し困った。

その話を聞くサオリとカオリの目も輝いている。

誤解が発生中だよね。

ここは一階なのに。

誇張し過ぎだから訂正したいのだが、王様の話になかなか口を挟むことができない。


「ところでタカシ君はこれからどうしていきたいのかな。夢はあるのか、世界征服とか、宇宙の支配とか」

「何ですか、それは。私は魔王ですか?」

「そのくらいの力は持っているだろ。主に魔力で」

「いや、ありませんよ。私は平和に周囲の人たちとゆったりと生活を送りたいですね。スローライフが望みです。そして周囲の人が幸せになるようには頑張りたいと思います」

「「私たちも、幸せになります!」」

「おおー、ユキノも幸せにしてやってくれ」

「・・・・・・」

このノリについていけないな。

「それはそうと、この水屋はこれからどうしていきたい。『経営方針』というものもあるんだろ」

「えーと。美味しくて安全な水の供給?」

「それ以外にはどうなんだ」

「人が憩える場所の提供かな」

「それから、それから」

「王都の皆さんへ心の豊かになるものを提供したい」

「さらに、さらに」

「この世界の人たちに豊かで平和な生活と与える」

「「「なんだ、やはり世界征服じゃないか」」」

「え、?」

水屋の経営方針がいつ世界征服なったんだ?


「まあ、タカシ君を弄るのはこのくらいにしよう。魔王として覚醒しても困る。王妃同様に絶対に逆らいたくない」

「私、お兄さまが魔王として覚醒しても憑いていきます」

今、サオリが『憑いていくと言わなかったか』?

憑依されるのか。

「私はタカシさんを魔王にはしないから大丈夫だよ。サオリ姉さんも憑依させないよ」

やはりサオリが憑依しようとしていたのね。

「おほん、冗談はさておき今日の夕食は王宮でどうかな。王妃やユキノもサオリさんやカオリさんが来るのを待っているよ」

「サオリ、カオリ。折角のお誘いだから行かないか?」

「「はい、喜んで」」


それで肝心な水屋の経営方針だが『アクア王国王都ブルーに人たちに潤いと幸せを与える』ということになったようだ。

サオリとカオリにすべて仕切られた。

王様が後で迎えを寄こすと言って帰って行った。


しかし、潤いと幸せか。

水屋で販売する物を増やすかな。

できたらカフェも開いてみたいよね。

あと溜まり始めたお金を王都の人たちのために使いたい。

大金を手元に置いておくと経済の停滞を招いてしまう。

お、何か楽しみになって来た。

やりたいことが沢山あるじゃないか。

では用意をするか。

そうそう、一度屋敷に戻って夕食はキャンセルということを伝えた。

服はと・・・・・・・

サオリとカオリの王宮に着ていく服はどうする!?





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