第24話 一族の長
カオリさんの父親タクミさんは隣に一緒にいた女性を紹介してくれた。
カオリさんの母親でサオリの養母アカリさんだ。
そして後ろにいるのは
「タカシ、元気だったか。いつも苦労を掛けて悪いな」
私の両親、サオリの実の父母だった。
私が両親と仲が悪いという訳ではない。
小学生から中学生にかけてひいおばあさんのところに預けられたが週に一度は様子を見に来てくれていた。
そして中学から高校までは一緒に住んでいた。
大学、社会人と今のマンションが与えられたが月に1回程度は実家に帰っていた。
しかし、妹サオリの事は教えてもらいたかったという思いはある。
私が妹が原因の事故に巻き込まれているという事実を知っていても。。。。
その後、サオリとカオリさん二人の引っ越し荷物が運び込まれた。
この家の持ち主は私なのだがそんな事実は関係はないようだ。
9人の使用人が来ることになった。
屋敷管理と身の回りの世話3名、料理人2名、運転手兼警備警護4名。
全員が屋敷の隣にある建物に住むという。
給金等は一族の会で出すという。
「こんなに使用人が必要なんですか。特に警備警護が多いと思いますが」
「そこのところに事情を話しておこう。私たちの一族の事も」
私たちの一族は古くから仙術や魔法や陰陽術などを使える一族だったらしい。
そして権力者から狙われてきた一族でもあったという。
現在、一族は400名強。
そして魔力があるのは52名、魔法陣なしで魔法が使えるのが7名だという。
魔法陣があればさらに32名が魔法を使えるという。
魔法が使える7名は私とサオリとカオリさんと一族の菩提寺の住職と副住職、一族の先祖を祀る神社の神主とその長男だけだ。
一族の中には自分たちを守るために魔法を使えないが政治家になったり大企業を経営したり武術家になったりしている者もいる。
そうやって自分たちを守って来た。
しかし、今も一部に知られている魔法を使える私たちの一族は海外からも狙われている。
海外の魔法や仙術などを使える一族は全てがその国の支配下にあるのだという。
「とはいえそう言う一族は私たち以外に6つ、魔法を使えるのは各一族に1人か2人、魔法陣が使えるのが3人から4人というところでしょう。この国の政府と私たちは昔からお互いに距離を持って付き合ってきていますがこの国以外の各国や各一族はタカシさんを狙っています。ですから一族でお守りします」
「そうですか」
「今まで一族の長はお師匠様が務めていましたが亡くなってから空位となっております。補佐してきた私たちが代理を務めてはきましたが、そろそろ新しい長が欲しいところです。タカシさんに一族の長になっていただきます。よろしくお願いします」
「私などでは長は務まりませんよ。御住職にお願いしすればよいのではありませんか」
一族の菩提寺の住職というのは墓参りに行った時によくお会いする。
話に重みがあり立派な人物だ。
「それが駄目なのですよ」
「お久しぶりです」
近くに来ていたのは寺の副住職だった。
気配を探知してわかっていたけどね。
「お久しぶり、タカシさん。貴方には申し訳ないが私たち寺の者はご先祖様の眠る寺を守護する、神社の者は先祖を祀る神域を守護するのが役目だからね。お陰で他の一族に魔法使いがいなくなってもこのように何人も残っているわけだけどね」
「そういうわけだ。もちろん寺も神社も一族として守っている。神社には墓所がなく神社の関係者も寺に埋葬するといった他から見たらおかしな一族だけどね。そして寺と神社以外の魔法使いが大事なんだよ。タカシさんがひいおばさんおばあさんと暮らしていた時も覚えているだろ」
「確かに使用人が多かった。そう言えばその後も私を守るような人がいたような」
「そういうわけだ。そして地球で扱える魔法の力と魔力の量を考えてタカシさんが一族の長になってもらうのが一番いいわけだよ。補佐は私たち魔法陣を扱える魔術師が務める」
「それでは仕方ありません。わかりました。よろしくお願いします」
「ありがとう。それからタカシさんに伝えておきたい内容がある。1つは他の一族は他の世界に行って来れないということだ」
「行けないでなくて行って来れないですか。行けたけど帰ってこれなかったということでしょうか」
「そう、行ったのは私たちの先祖が確認したが他の一族の者は帰ってこれなかった。帰って来れるのは私たちの一族だけだった」
「でも扉があれば」
「あの誰でも行き来ができる扉を作ったのはお師匠様だよ」
「そうだったのですか」
「そして他の一族の帰ってこれなかった優秀だった魔術師や私たちの何人かの先祖がアクア王家の先祖なんだよ」
「それではウォータ様やウォルトさんやユキノさんとは同じ先祖だということですか」
「その通りだ。だからあの世界、特にアクア王国は大事にしなくてはいけない。地球にはあの世界の存在を知って狙っている国や勢力もある。そういう事なのでこの屋敷も大事だよ。タカシさんがのんびりやりたいのはわかるけどよろしく頼むよ」
「わかりました」
とは言ったものの、向こうでゆったりしたいよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます