第23話 サオリの過去・現在とカオリさん
保護した二人をどうしようかということになった。
魔力操作ができず魔法が使えない両親や祖父母ではいざという時に対処できない。
その結果、タカシは中学までひいおばあさんに育てられた。
ひいおばあさんは弱い治癒魔法を使える地球では稀有な存在だった。
これによってタカシの記憶が戻るかもしれない。
そして近くにはいつも師匠がいて援助してくれていた。
サオリはカオリさんの両親が魔法陣を利用して暴走が起きないようにしながら養子として育てることになった。
そのお陰で現在のサオリは自分の魔力を制御できるようになっている。
そして魔法も使える。
魔力を感知でき、それによって探知探索ができる。
治癒魔法も使えるようになったという。
感知した魔力を媒介として鑑定をしたり、さらに結界を張ったりもできる。
魔道具製作も得意だという。
兄であるタカシに会いたかったが事件の事もありさらに兄が記憶をなくしていることも考え、我慢したという。
そして師匠が死の前に兄であるタカシを支えろと指示を出した。
「ウォータ様からタカシ兄さんが戦争に行くと連絡をもらって気が気ではなかったのです。本人からは何も連絡していただけないし、また遠くいってしまうのかと」
「ごめん、余裕がなかった。それよりウォター様を知っているのか?連絡をもらえるのか?」
「はい、お師匠様に頂いた魔道具があります。それを使って手紙のやり取りが可能です。数回、お師匠様に連れて行ってもらった事もあります。あ、ユキノさんとの婚約も知っています。おめでとうございます。私も向こうの世界に行けばタカシ兄さんと結婚できるのではないでしょうか」
「流石にそれは無理でしょう」
「でも兄さまは向こうに世界では何人もお嫁さんをもらえるのでしょ。私もそこに入れてください」
知ってしまった!
私の妹はブラコンだ!
「向こうの世界の人たちの事も知っているの」
「はい、ウォータ様、ウォルト様、ユキノ様、エコノさんとは面識があります。カオリも一緒に行ったことがありますよ。もちろん私が異世界の人間だと知っているのはウォータ様とウォルト様だけです」
「それでウォルト王太子は私と別れるときに妹さんによろしくといったのか」
「そうなのですか。ウォルト様には私に対して好意を持っていただいているようです。私には兄さまがいるから無理なのに」
(何、ウォルトの奴、私の大事な妹に!ってそれじゃあ私がシスコンじゃないか。冷静になろう、冷静に)
「それでサオリはこれからどうしたい」
「お師匠様にいわれた通りタカシ兄さんを支えます。カオリとともに生涯をかけて」
「生涯をかけてって。そう言えばカオリさんは全て知っているの?」
「はーい、知ってますよ。サオリ姉様のタカシさんへストーカー行為が暴走しないように近くで監視していましたから。でも私もタカシさんを見ているのが日常のように感じるようになってしまいました。私もタカシさんを見ていないと禁断症状が。やはり許嫁だからなのかな」
「禁断症状って!そして何、その許嫁って!」
「あ、タカシさん知らなかったのですよね。もう、解禁よね。一族の会合で魔力を最も多く持つタカシさんと3番目に多く持つ私が結婚するのは決まっているのですよ。3番目といっても2番目に多いサオリ姉さんの半分程度ですけど。小学校の頃までは知らないお兄さんが私の将来の旦那様なんてと思っていたけどサオリ姉様のストーカー行為に付き合っていたらタカシさん以外に興味がなくっちゃた」
「いや、そこ何かおかしいでしょ!ストーカー行為は止めてよ!で、一族の会合って何?」
「タカシさんも私たちの親戚だよ。お師匠様と私よりタカシさんと私の方が近いんだよ。お師匠様とタカシさんも親戚だからね。私がタカシさんの許嫁というのは私の両親もタカシさんの両親も了承済みだから問題ありません。私は大学なんか行かずにすぐお嫁に行きたかったけど、タカシさん見合うようになるには大学でしっかり花嫁修業をしなさいって言われたの。だから勉強を頑張るからね。あ、子供は大学を出てからにしてくださいね」
「いいな、カオリ。タカシ兄さんの子供を産めて。私も兄さまの子供を産みたい」
「カオリ姉さん。それは法律的にアウトとだからこちらでは。産むんだったらあっちの世界で産んで。私の旦那様を地球で犯罪者にしないで」
「許嫁って初めて聞いたし、あっちの世界でも無理だから。カオリさんは向こうの世界には行ったことはあるの?」
「あるわよ。だからサオリ姉さんとここに住んでいても大丈夫。問題なし。町までの送り迎えは事情を知っている使用人が来るから」
「え、住むって!」
「サオリ姉さんと私でここに住むから。もちろんタカシさんも」
「え、」
その時、外に車が到着したのが判った。
地球でも気配を感じるんだけど。
これって・・・・・。
「あ、来たよ。引っ越しの荷物が」
玄関に行くとそこには4人の男女と引っ越し荷物の搬入を準備している男女がいた。
「やあ、タカシ君。お久しぶり」
そう挨拶してきたの遺産の相続の時に会ったサオリの養父、カオリさんの父親だった。
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