第16話 癒しのお茶・癒しの水

塩づくりから戻っきた。

今日の水屋は先週ほどは混乱していなかった。

屋敷に行って10分で昼食。

早食いはよくないとはわかってはいるのだが。。。。。

朝から売れた水は

1L   220瓶

5L    30瓶

10L 4520瓶

20L  180瓶

  計49170L


昼前の在庫は

1L    80瓶

5L   280瓶

10L 2480瓶

20L  320瓶

  計32680L


これなら塩を納品してからの追加でも大丈夫そうだ。

塩の納品は商業ギルドの近くにあった接収された塩商人の店と屋敷を改造して作られた塩取引所で行う。

水屋からも歩いて5分の立地だ。

塩を納品して、業者やギルドから戻ってきた瓶を受け取る。

そして先週納品した分の代金も受け取った。

戻ってこなかった瓶の代金分も含まれている。

また大判が何十枚もあるよ。

これを社会に還元しないとまずいよね。

経済を活性する使い方を考えなくてはいけないな。

在庫状況を尋ねたらまだ余裕があり大丈夫なようだ。

これなら明日の納品は行わなくてもよいようだね。

その旨を担当者に伝えると簡単に了承された。

今回の納品からは私からの卸値が高純度塩1kg400円、美味しい塩1kg800円だ。

次の塩の納品は7日後で私からの卸値が高純度塩が1kg300円、美味しい塩が1kg700円にする。

塩取引所も前回の卸値が高い塩が残っているとまずはそれを捌かなくてはならない。

だから次に納品されるまでには在庫は少なくしたい。

そこで納品量も調節したいので今回の納品量が少ないのは歓迎のようだ。

次回の納品可能量を伝え、次回の希望納品量を教えてもらったところ魔道具で来週末までに生産されている量で足りそうだ。

足りなくてもすぐできるけど。

魔道具のお陰でスローライフに近づいたかな。


納品を終えて水屋に歩いて戻って行くと店の近くが騒がしい。

あれはご近所のハリスさんとルルさんのご夫妻?

「どうしましたか?」

近くにいたライトさんに尋ねた。

「夫婦喧嘩ですよ。最近王都では多くなっているんです。毒の事件があったり塩不足があったり戦争の話があったりしたので不安から心が荒んだのかね」

「止めなくていいんですか」

「そうだな。往来であの喧嘩はみっともないし迷惑だよな」

ライトさんやご近所さんと二人を引き離し水屋の庭にあるテーブルのところに連れて来た。

スローライフができるようになったらここで知り合いを招いてお茶でもしたいと思っていて整備している。

(お茶か?いいかも)

庭には何種類かのハーブが植えてある。

先代が育てていたようだ。

地球で見たことのある種類もあった。

少しおかしいのはこの季節でも花を咲かせていたり実をつけていることなのだが。

気にするのはよそう。

ここは地球ではない。

何種類かのハーブの葉や花を収穫した。

水屋の書斎で前に読んだ本にリラックス効果のあるお茶の作り方が書いてあった。

地球での知識もあるけど。

作業場で美味しい水とハーブを使ってお茶を作った。

まずハーブを洗って乾燥させる。

次に簡単な脱水だよね。

細胞が壊れて中の有効成分が出るだろう。

これをお湯にした美味しい水に入れて・・・・できた!

ちょっと味見。

いいね。

鑑定したら「リラックスできる美味しいお茶」と出てきたよ。

ふと自分の飲んでいたお茶を見て閃いた。

(魔力を与えてみるとどうなるのかな)

魔法薬を作った時の事を思い出したよ。

自分の飲んでいたお茶にこのお茶で癒されるようにと念じながら魔力を込めていく。

あれ、この前に魔法薬を作った時と異なる感じの魔力が出ていくね。

それでは鑑定。

「癒しの魔法茶」

お、凄い。

詳細を調べたら精神の安定をもたらし副作用がないようだ。

味も問題ない。

先程の魔力にはそのような効果があるのかな。

(水にも有効かな)

美味しい水にもこの水で癒されるようにと念じながら魔力を込めていく。

鑑定!

「癒しの水」

荒んだ心を癒してくれるようだ。

ハリスさんとルルさんのところに水とお茶を持って行った。

ハーブの臭いが駄目という人もいるからね。

二人ともお茶を飲んでくれたよ。

二人の顔が和らいできた。

よかった。

「タカシさん、2人はどうしたんだ」

「心が癒されるお茶を差し上げました」

「へえー、すごい効果だな」

「皆さんもいかがですか。水もあります」

「いただこう」

皆さんがお茶や水を飲んでくれた。

皆さんの顔が和らいだのが判る。

「これはいい『癒しのお茶』『癒しの水』だな」

「喜んでもらってよかったです。ところでハリスさん、ルルさん何故喧嘩したのですか」

みんな今それを訊くなという顔をしているけどこういう事は精神が安定している今のうちに解決しておいた方がいいんだよ。

「ハリスのやつ私が大事にしていたクッキーを黙って食べちゃったのよ。それを謝らなの。でもそんなことで喧嘩することなかったわ。ごめんね」

「ルルごめん。お腹が空いていて。本当にごめん」

「いいのよ。今度食べたくなったら必ず言ってね。私もいろいろ言い過ぎたわ」

「わかった。愛しているよ、ルル」

「私もよ、ハリス」


みんな喧嘩の原因を聞いて呆気にとられている。

まあ、世の中こんなものでしょう。

しかし二人は仲いいね。

甘すぎて甘すぎて・・・・・。

庭から笑い声が沸き上がった癒される午後だった。

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