第15話 スローライフ計画

忙しい週末が終わり、いつもの職場でいつもの仕事。

あちらの世界の方が忙しいけど、刺激があるのも事実だよ。

刺激の少ない職場でそれなりの仕事を行っているとあっという間に週末が来てしまう。

金曜日午後4時。

突然上司に呼ばれた。

「タカシ君、君の有給休暇の事なんだけど」

「はい、3月末までに最低10日は使ってくれないかな」

「10日ですか」

「そうだ。君は前年の持越しも含めて年度当初34日の有給休暇があったのだが使ったのは3日だよね」

確かに師匠のお通夜と葬儀と遺産相続の時だけだ。

「残が31日、君が来年に持ち越せるのが18日。このままだと13日は捨てることになる。最近休暇を捨てるということに五月蠅くてね。捨てるのは3日以内にしてほしいのだよ。どうだろう。今仕事の区切りだよね。まずは来週の月から金までの5日間休まないか」

「わかりました」

(まあ、屋敷で師匠の遺品整理をしてもよいし・・・・・。あ、魔道具を作るのもありか!)

ということで残業をせずに家に帰り屋敷に向かった。


屋敷の入り口でサオリさんとカオリさんに会った。

休暇の関係で屋敷にこれから9日間は屋敷にいることが多いことを伝えた。

夕食後明日の弁当をおいて二人は帰って行った。

改めて屋敷の中を確認すると書斎に面白いものがあるのに気が付いた。

(これって内線電話だよね)

ダイヤルはない。

ボタンが5つ。

1から5の番号が書いてある。

内線電話の横にはメモがあった。

1、ウォータ

2、エコノ

3、ミズヤ

4、リビング

5、ケイタイ

(あちらの世界と連絡ができるのか)

早速、水屋に行ってみた。

書斎の引き出しの中に内線電話とボタンが5つの携帯電話と2枚のメモがあった。

1枚には

1、ウォータ

2、エコノ

3、ヤシキ

4、リビング

5、ケイタイ

これは内線電話の方か。

もう1枚には

1、ウォータ

2、エコノ

3、ミズヤ

4、リビング

5、ヤシキ

こちらが携帯電話か。

するとリビングにも内線電話があるのか。

しかし水屋のリビングで探しても内線電話はなかった。

とりあえず試しに水屋の書斎の内線電話の5番のボタンを押してみた。

携帯電話が振動した。

マナーモードのみですか。

こちらの世界で呼び出し音はなしか。

携帯電話の液晶画面のところに数字が「3」と浮かんだ。

携帯電話からは書斎の内線電話はどうかな。

携帯電話の3番のボタンを押すと。

「ピン、ポン」

チャイムだった。

5番のボタンが光っている。

王様とエコノさんは止めておこう。

水屋の中に変わったことがないか確認した。

ポストに手紙が入っていた。

(まさかこの時間に呼び出し?でも今回はメモでなくて手紙!)

手紙は王様からだった。

王都は落ち着きを取りも戻したこと。

それに伴って美味しい水の購入者が減ったこと。

5日間の売れた量はこうだった。

1日目 2万8000瓶

2日目 2万4000瓶

3日目 1万6000瓶

4日目 1万瓶

5日目 7000瓶

残1万5000瓶

残りは王宮で買い取って公共施設や軍に配ると書いてあった。

それでは申し訳ないから販売手数料ということで残りの美味しい水は王宮に無料で渡そう。

これで明日の美味しい水の量の目途がついた。

10Lの瓶で1万瓶もあれば不足する心配はないだろう。


魔道具作りは明日に回して屋敷に戻った。

そしてリビングに下りた時に気が付いた。

リビングにはインターホンの受話器がある。

でもこの屋敷の玄関の外にはインターホンはない。

呼び鈴だけだよ。

ということはこれが書斎に繋がるのか。

「リビング」って屋敷のリビングだったのか。

よく見るとボタンが一つだけだ。

そうだよねここからあちらの世界に電話がかけられたら不味いよね。

でも向こうからはリビングには電話をかけられるのか。

そう言えば王様とエコノさんの内線電話はボタンはいくつあるのかな?


ああ、23時か。

明日も早いからも寝よう。


翌朝は4時に起床した。

洗面、朝食。

そして水屋へ。

さあ、張り切って水づくり。

王様の手紙には今日も6時開店の要請があった。


1L   300瓶

5L   300瓶

10L 4000瓶

20L  500瓶

  計51800L

先週の日曜の朝と同じ量。

これだけあれば朝は大丈夫だろう。

5時50分に王宮からのお手伝いを迎え入れて営業開始。

水を収納に追加しておいた。

10Lを3000瓶、30000L。


9時から塩生産の魔道具の確認と今週納品分の塩の生産へ行く。

現地に着くと警備から魔道具はしっかりと仕事をしてくれたと報告された。

ただ運ぶのが大変だということをぼやかれたよ。

やはり私が運ぶしかないか。

作業場も大きく拡張されていた。

これなら塩の生産の魔道具に任せる比率を上げられる。

高純度塩800瓶と美味しい塩800瓶を回収して新たに瓶を24000ずつセットした。

魔道具の生産能力も4倍に上げておいた。

これで塩の生産のほとんどは魔道具任せで大丈夫だ。

回収と空の瓶の設置と納品だけだね。


今週の納品分は作らないといけないな。

高純度塩1000瓶を生産に必要な時間は今日も約3分。

45分で15000瓶、375t。

次に美味しい塩も生産する。

美味しい塩1000瓶で今日は約4分。

50分で12000瓶、300t。

計675t。

それに加えて魔道具で作った塩が40t。

後は美味しい水を創る魔道具を作ればスローライフができるかな?

塩の納品と魔道具作りは午後ということにして水屋に戻ることにした。


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