第14話 爵位ですか

12時現在の在庫は

1L     20瓶

5L     20瓶

10L  4000瓶

20L    30瓶

  計40720L


1時間で追加できたのは10L8000瓶。

1時間で売れたものを差し引いて13時の在庫は

1L     10瓶

5L     10瓶

10L  9000瓶

20L    10瓶

  計90260L


私が帰って来るまで辛うじて持つかな?

そんなことを考えながら迎えの馬車で王宮へ向かう。

「こっちだよ」

「え」

塩の納入に向かおうとしたらウォルト王太子に呼ばれた。

塩納入は練兵場の通称塩小屋だよね?

王太子に誘導されて王宮の奥へと向かう。

どこに行くんだ?

王様がお呼びなのかな?

だけど王様の執務室でもなかった。

「えーと、ここは?」

「謁見の間だよ」

「帰らせていただきます」

「そういうわけにはいかないかな」

「いやこんな服装じゃ失礼でしょ」

「大丈夫だ」

ウォルト王太子に背を押され、謁見の間に入ってしまった。

侍従に誘導されて王座の前で待つように指示された。


貴族がずらりと並んでいるよ。

場違いだな。

そんなことを考えていたら王様が王妃と王子と王女を連れて入って来た。

侍従に促され頭を下げる。

ウォルト王太子やユキノ王女もいる。

ユキノ王女の制服ではない姿が新鮮に感じる。

こうやってドレス姿を見ると流石王女様という雰囲気だ。

は、それどころじゃない。

(この流れはこの前の毒の一件に対する褒美だよな、目立たないように守ってくれるのじゃないの?)

「ただいまより昨日の王都への毒攻撃に対する対処と犯人捕縛と救護活動、その後に安全な水を供給したこと。これらに対する恩賞を水屋タカシに与える。水屋タカシはその他にも塩の安定供給も行ってくれておる。水屋タカシ前へ」

「はい」

半歩前へ出た。

「陛下、よろしくお願いします」

「いむ、タカシにこの間の活躍大義。礼を言う。伯爵と領地を与える」

無理、そんなのいらない。

領地って領地経営っていうのもあるのでしょ。

週末しか来ないしその時も水屋だよ。

「いきなり伯爵とはおかしいのじゃないか」

「若造に領地経営などできないであろう」

「このくらいの活躍で爵位とは片腹痛い」

「こんなことで爵位なぞ貰うもんじゃない」

貴族の皆さんああ言っているよ。

それじゃあ断ってもいいかな。

「謹んで辞退させていただきます」

「「「「えー」」」」

王族と宰相たち一部の上位貴族を除いた人たちが声をあげた。

「何という失礼な態度だ」

「不敬にもほどがある」

「ちょっと活躍したからって思い上がって」

「国王陛下に逆らうのか」

貰えというのか貰うなというのかどちらなんだ?

それ以上に王様の前でこの騒ぎは失礼じゃないの?

「静まれ!」

「「「「ははーあ」」」」

お、流石、王様の一喝で静かになった。

「タカシ、何故爵位を受けてくれぬ?」

「私には過ぎた褒美です。またこの王都を訪れるのは週末に水屋の営業をするためだけです」

「週末?」

「7日に2日だけということです。ですから領地経営もできません。そして元はこの国の住民でもありません」

「賢者様と同じ理由だな。では仕方がないな。伯爵と領地を与えるのは諦めよう。代わりに特別名誉爵を与えよう」

「特別名誉爵?」

「賢者様のためにつくりに受けていただいた爵位じゃ。領地経営もなしで1代限り、1年に下げ渡す金以外は公爵と同等の待遇、貴族としての義務はないものにする。一応男爵並みの年小判20枚は与えるが屋敷はどうする?」

「いりません」

簡単に返事してしまったけど、これって特別名誉爵を受けるという流れか。

「それでは特別名誉爵を与える。賢者様と同じ爵位だ。これ以上の辞退は許せぬ」

「は、ありがたく受けさせていただきます」

完全拒否は無理みたいだ。

謁見終了後、王様の執務室に呼ばれた。

「タカシ君悪いね。活躍した人物にはその活躍に見合った恩賞を与えなくてはならないのだよ。バランスというものがあるんだ」

「目立ってしまいましたよ」

「もうすでに目立っていたよ」

「はあ」

「ではこの後、塩の納品をお願いする。それから美味しい水を我々に期間限定で代理販売をさせて欲しい」

「代理販売ですか?」

「うむ、明日から水屋の安全で美味しい水がないと混乱するだろう。少しこちらで水を預からせてもらえないだろうか。場所は用意してある」

「はい、わかりました」


その後、毎日の塩を回収と作業場の拡張をお願いしていつもの場所で塩を納品した。

そして案内された公園には厳重に警備された広い体育館のような建物があった。

縦横100mはある建物だ。

横にはきれいな水が流れる水路もある。

20Lの瓶を30000瓶準備して水を満たす。

係の人が封をしてくれた。

16時に近づいたので急いで水屋に戻った。

「タカシ様、水の追加をお願いします」

急いで10Lの瓶に7000瓶の水を用意した。

そしてまた公園へ。

追加で20Lの瓶7000瓶に美味しい水を満たして合計10万瓶を置いた。

200万L。

これだけあれば明日から5日間大丈夫だろう。

水屋に戻ると水は売り切れていた。

多く欲しいが他の人たちの事を考えて購入を控えていたお店関係の人たちが閉店1分前に残りの分を買っていったそうだ。

私が店に着いたのは閉店後18時5分だった。


今日の売れた水の量は38万1800L。

1時間に10Lの瓶で3100瓶強。

1分間に5瓶という計算だね。

瓶自体も合計6000瓶が売れた。

本日の売上総額は1581万8000円。

これ以外に来週は塩の代金がと水の代理販売の料金が来るんだよね。

お手伝いの皆さんに位置もの通りお礼を渡して屋敷に戻りサオリさんたちと夕食。

疲れた様子に心配されたけどうまくごまかせたかな。

しかし疲れる週末だった。

魔力?

あれだけ水と塩を作ったのに何ともない。

鑑定したけど品質は変わっていないよ。

使い方がうまくなったのかな?

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