第12話 塩の増産と魔法薬
地獄のような昼の販売は13時を過ぎても続いている。
販売はお手伝いに任せて作業場に美味しい水10Lを1500瓶と20Lを200瓶作っておいた。
王宮からの要請で午後も美味しい水を売り続けて欲しいとのことだ。
安全な水があれば精神的にも落ちつくよね。
しかし、私には塩の生産の作業もある。
店はお手伝いの皆さんに任せて13時から塩の生産に行くことになった。
一度に生産する量を増やすことにする。
美味しい塩の割合を増やして欲しいという依頼も来た。
無謀かなと思ったけど一度に高純度塩1000瓶生産することにしたらうまくいった。
生産に必要な時間は約4分。
1時間で15000瓶、375t。
次に美味しい塩も生産する。
美味しい塩1000瓶で約6分。
1時間で10000瓶、250t。
計625t。
13時20分から始めた作業は15時20分に終わった。
急いで王宮に行き、塩を納品する。
あ、今日明日の卸値は高純度塩1kg500円、美味しい塩1kg900円でね。
代金は後日でいいと伝えて水屋へ急行する。
16時に帰着した。
まだ行列が続いているなあ。
店に入ると、
「タカシさん、美味しい水の追加をお願いします」
やはりこうなっているのか。
作業場で10Lを500瓶生産して店で収納の魔道具から出す。
それを17時半まで6回、3000瓶を生産。
瓶ごと買っていく人も多くて今日1日で瓶が1500瓶も売れた。
代金は300万円。
水は今日1日で79900L、代金は79万9000円。
合わせて379万9000円の売り上げだ。
アルバイト代としてお金を渡したかったが王宮の人たちには受け取ってもらえなかった。
当然か。
王宮から特別手当をもらっているらしい。
王宮に派遣費を支払った方がいいかな。
ホットケーキを改良したクッキーとサイダーは受け取ってもらえた。
学生さんたちには加えて銀貨3枚と美味しい塩を受け取ってもらった。
銀貨は本でも買いなさいと言ってね。
戸締りをして18時40分に屋敷に戻った。
帰るとすぐサオリさんとカオリさんが来て夕食を作ってくれたよ。
食べれなかった昼食のお弁当の中身は隠しておいたけど気が付かれたかもしれないな。
サオリさんたちが帰った後、水屋に戻るとポストにメモが入っていた。
王宮から遅い時間でもいいから至急来るようにというものだった。
厄介だとは思ったが行くことにした。
他の選択肢はないよね。
見なかったことにするか。
それは無理だ。
メモを持ったことが伝わる仕組みが施されているようだ。
書留か!
店の外に出ると配水池へ一緒に行って怪我をした衛士さんが二人近づいて来た。
「こんばんわ、怪我は大丈夫ですか?」
「こんばんわ。タカシ様のお陰でもう何ともありません。王宮に行かれるのですよね。同行させていただきます」
王宮の馬車が近づいて来た。
どこに待機していたのだろう。
馬車に乗り、王宮に到着した。
すぐに王様の執務室に通された。
室内には目に下に隈を作ったナイスミドルとイケメンだけがいた。
王様と王太子だよ。
「悪いな、夜遅く来てもらって」
「いいえ、大丈夫です」
「早速の塩の増産ありがとう。明日も同じぐらい納入してもらえるかな」
「はい、そのつもりです」
「今日はあれだけの量を午後だけで生産したのだろ。明日は午前中に生産して午後1時半に納品してもらえればうれしいのだが」
「そう致します」
「それで次だが」
やはりきたか。
「タカシ君は魔法薬を作れるようだな」
「衛士さんが怪我をしたので必死になって傷を塞ぐ魔法薬を作ったのですが・・・・」
「再生までする魔法薬を作ってしまったと。それも薬草もなしで」
「はははは・・・・・・・そうみたいですね」
「他にもできそうか?」
「解毒薬と病気に対する治療薬と解呪薬はできそうです。あ、あと体力回復薬も」
体力回復薬はサイダーに1滴入れたのは秘密だ。
ユキノ王女は気が付いていた感じがあるのだが。
「ここれ作ってもらえるかな」
「材料が・・・・」
「用意できるよ。でも腕輪の収納に入っているのだろ」
「はあ、わかりました」
材料を取り出し、元になる水溶液を作る。
それに魔力を込めて魔法薬に変える。
あ、できちゃった。
配水池の時より簡単だったよ。
コツを覚えたかな。
同じようにして計5種類の魔法薬を作ってしまった。
傷薬(外用)
解毒薬(内服)
病気治癒薬(内服)
解呪薬(外用)
体力回復薬(内服)
私が材料をしまったところで王様が机上のボタンを押して侍女を呼びだした。
「薬師長と治癒士長と聖女様を呼んでくれ」
え、こんな夜中に呼び出したら可哀そうだよ。
王宮はブラックか。
今の水屋はブラックになっているけど。
3人はすぐに来た。
ああ、近くで待機していたのか。
3人とも薬を鑑定する能力があるらしい。
「こ、これは賢者様の作られたものより上級です。最上級と言えます」
「薬師長、落ち着きなさい」
「でも、薬師長の言う通りですわ。これは薄めても使えますよね」
「ああ、10倍に薄めても賢者様の作られた上級の魔法薬以上の効果があるだろうな」
え、そんなにサイダーに体力回復薬を1滴入れたのはまずかったかな。
「これはタカシ様が作られたのですよね」
「3人とも聞きなさい。この薬の事は秘密じゃ。タカシ君この5本の魔法薬を買い取らせてもらいたいのだがいくらかな」
「いくらと言われましても・・・・」
「国王陛下、賢者様の上級魔法薬は小判10枚でした。その10倍以上の効果の期待できる魔法薬なら伝説級、小判100枚の価値はあると思いますが」
「そうだな、それなら1本大判1枚だな。少し安いようにも感じるが〆て大判5枚ではどうかな」
「いや、それでは多すぎますよ。1本小判1枚がいいところでしょう」
「そんなわけにはいかないぞ」
その後、いくらにするか揉めた。
魔法薬は高く、下級で金貨1枚、中級で金貨5枚、上級で小判5枚だそうだ。
師匠の上級魔法薬は効果が高く小判10枚とか。
効果から考えてこの魔法薬1本は大判1枚にしなくては不味いということだ。
相場を崩してしまう。
他の魔法薬を作れる薬師や錬成士が困ってしまう。
「それでは傷薬を大判1枚でお譲りして後の4本はおまけということで。この条件でなければお譲りできません」
「で、ではそうしよう」
「Buy 1 Get4」になった。
何とか24時前に屋敷に戻ってそのまま就寝。
明日も「塩と水」をがんばるぞー。
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