第9話 塩と水

屋敷に帰ると玄関のチャイムが鳴った。

最近こちらでも確実に魔力を感じるようになってきたようだ。

扉を開けなくてもわかる。

この魔力はサオリさんと・・・・

もう一人いるサオリさんと似たような魔力を持つ女性か?

「こ、こんばんわ、タカシさん。夕食を一緒にと思いまして。あ、ここいるのは妹のカオリです」

「こんばんわ、サオリさん、カオリさん。ようこそ」

「こんばんわ、カオリです。初めましてタカシお兄さん」

「あ、はい。どうぞお入りください」

「お邪魔します。話には聞いていたけどタカシお兄さんのまりょ、・・・お爺さんに雰囲気が似ているのね」

「弟子ですから」

(今、魔力と言おうとしなかったか)

「タ、タカシさんお腹が空いたでしょ。すぐに夕食にしますね」

「ありがとうございます。それから昨日の夕食、今日の朝食と昼食もありがとうございました」

「いいえ、どういたしまして」

「私も手伝うね」


二人のかわいい女の子に夕食を作ってもらえるなって幸運としか言えない。

カオリさんは高校3年生もうすぐ卒業で4月からは大学生だ。

大学はサオリさんがもうすぐ卒業する大学で学部も同じ理学部だそうだ。

サオリさんの在学している大学を訊いたことがなかったが私の母校だった。

学科や研究室も同じだ。

師匠に師事していたわけだ。

ちょうど私の卒業直後に入学したことになるね。


二人が帰るときカオリさんが「やっぱり覚えていないんだ」と呟いていたのだが・・・・・



翌朝4時に起床。

朝食を食べてからすぐに転移して美味しい水を用意する。

・・・・・・作り過ぎたかな?

 1L 300瓶

 5L 200瓶

10L 600瓶

20L 100瓶

計  9300L

1日分だ。


今日も王宮から応援が来た。

朝からよく売れる。

ライトさんの話では仕込みの事を考えると6時ぐらいから営業してもらえると嬉しいと言っていた。

検討するかな。


9時までに売れたのは

 1L 205瓶

 5L  40瓶

10L 342瓶

20L  25瓶

計  4325L


9時の販売終了と同時に護衛を乗せ、王都の北の塩を作る池に向かう。

ウォルト王太子は現地に軍を連れて行き、作業場を作ってくれているらしい。


9時20分に現地到着した。

軍によって造られた作業場が板敷で屋根がある20m×20mの小屋だ。

ただし壁があるのは3面。

残りの一面は壁を取り外してある。

そちらには池と山肌と草原を見ることができる。

利用する対象物を確認できた方がありがたい。

それが地下でも地上部分を見えた方がいい。


9時25分、塩づくりの作業を始める。

まずは20Lの瓶の入っている収納の魔道具を設置する。

この魔道具は4個の箱状の物体と1台のタブレットからできている。

4個の箱状の物体をエリアボックスというらしい。

エリアボックスをそれぞれ5m離して正方形を作る

魔道具でエリアを指定する訳だ。


このエリアボックスを四隅にしたエリアに収納物が取り出せてさらに収納もできる。

20Lの瓶は底面の直径は20cmで高さは75cmの広口の瓶だ。

5m×5mなら625瓶取り出せるはずだ。

空の瓶が625瓶取り出し可能と表示された。

500個を取り出した。

昨日と同じ魔法で塩を作り満たしていく。

時間で約3分。

そして収納。

タブレットに25kg高純度塩入り瓶500瓶の表示を確認することができた。

この作業を繰り返す。

計30回。

15000瓶の25kg高純度塩入り瓶ができた。

11時20分、作業を中断して王都の水屋に向かう。

昼の水屋の営業のためだ。

11時40分水屋に到着した。

屋敷に戻り10分で昼食。

サオリさんのお弁当をゆっくり味わえないよ。

王宮からのお手伝いを迎え、1時間の販売を行った。


 1L  35瓶

 5L  44瓶

10L 182瓶

20L  45瓶

計  2975L


13時、急いで塩づくりに向かう。

13時20分現地到着。

1時間で8000瓶の25kg高純度塩入り瓶を作ってしまった。

続いて美味しい塩を作る。

まず500瓶。

収納すると25kg美味しい塩入り瓶500瓶の表示を確認することができた。

30分もかからず、計3000瓶を作ってしまった。

ついでに自分用も10Lに2瓶ほど作っておく。

作業場の解放されている壁を護衛の皆さんが締めてくれた。

魔物除けの結界もつけてある。

王太子に断わってから護衛の皆さんにも紙に包んだ100gの美味しい塩を配ったよ。


15時30分王都の水屋に戻った。

現在の美味しい水の在庫は


 1L  60瓶

 5L 116瓶

10L  76瓶

20L  30瓶

計  2000L


早くも店の前で待っていたユキノ王女が、また数日間営業しないので客が殺到するだろうということを指摘してくれた。

頑張って美味しい水を創ろう。


 1L  60瓶

 5L   4瓶

10L 224瓶

20L  10瓶

計  2520L


残っていたのも合わせて


 1L 120瓶

 5L 120瓶

10L 300瓶

20L  40瓶

計  4520L


完売でした。

10Lを12瓶追加してしのいだ。

本日の美味しい水販売量は11940L。

売り上げは水119400円、瓶12個24000円。

〆て143400円。


昨日美味しい塩をもらったことが学生の仲間内で広まり、今日は12名の学生さんが手伝ってくれた。

指揮をするのはユキノ王女。


「そう言えば運動した時の給水は水だけ」

「そうよ」

「いくら飲んでものどが渇いたり、筋肉が攣ることはない?」

「そういう人もいるわね」

「そういう事が起きないようにミネラルの入った水を飲むといいんだけどね」

「へーそうなの。そいう時は干し肉を齧らせるんだけど」

スポーツ飲料でも作るかな?


みんなサイダーもどきを飲んだ後、美味しい塩を大事そうに持って帰った。

手伝ってくれた学生さんたちを労った後、王宮に向かう。

ユキノ王女の迎えが来たので一緒に連れて行ってもらった。


練兵場の仮設の大きな小屋ができていた。

「少し多く作ってしまったのですが出してもいいですか」

「多い方が助かるよ。正直、今までの輸入量では不足していて余裕がない状態だった」

その小屋中に20m×46mのエリアを設定して高純度塩を23000瓶575t、10m×12mのエリアには美味しい塩3000瓶75t、計26000瓶650tを出した。

予定より50t多い。

エリアを広くすれば一度の出せるので便利だ。

しかし小屋の床が抜けないか心配だ。

代金は高純度塩3億4500万円と美味しい塩7500万円。

合わせて4億2000万円。

大判42枚で支払われた。

「それで提案なのですけど、買い溜めを抑制するために徐々に塩の価格を値下げする事を国民に伝えてください。最終的には卸値も販売価格も半額以下にしましょう」

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