Works:228〜歌手〜

彼は歌う

ただ思うままに


その声は心臓を削るような音で

危うさをはらむ


歌いながら消えてしまうのではないか

そんな危うさだ


余分なものを全て削ぎ落とし

最後に残ったモノを奏でようとしている


そんな風にも見える

魂すらも擦り減らし


ただ歌う

聴かせたい誰かがいるわけでもない


何かに届かせようとと

歌う


凄絶

そう評してもいいだろう


聴くもの全ては圧倒され

自身の存在も不確かにされる


彼は歌う

ただ思うままに

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片恋色の詩 つっきー @utane_tuki

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