第二章:記憶の断片

Something named a dream.

 大きなモニターがあり、コードが巡り、僕に接続されている。

 高性能のコンピューターが僕を取り囲むようにして並ぶ。

 捻子や基盤、機材が散らばった白い床…に立って僕を観察する白衣の『研究者』。

 『誰か』の声で『研究者』は言う。

 「自我を持つロボットは成功。これから『教育』の段階に進む。

 これからどうなるか、とても楽しみだ。」

 『研究者』の首からは名札が下がっていた。それ曰く、『國里 将希』と。

 僕が死ぬ前、つい最近、テレビ番組で『凄腕の医者』の特集をしていた時、『國里

 将希』が映っていたのを今思い出した。その顔を思い出し、今僕の前にいる『國里 将希』の方が何年分か若い事に気付く。

 彼は僕に『何か』を飲ませた。それはメモリーカード?チップ?とにかく、硬めの、小さな物だった。

「さあ、お前の初めての記憶だ。これからお前は俺の関係者で、協力者であるお前の新しい親のもとで、ごくごく普通の高校生として生きてもらう。 これで、『教育』お終い。」

 そして僕は金具を外してもらい、服を着せてもらい、車で何処かへ運ばれていく――

 ここで僕は三人称の視点へと変わり、車から遠ざかっていく――

「嫌だ、なんでここで終わるんだ!もしかしたら答えがあるかも知れないのに。」

『そして、全ては黒に沈んでいく。』

 そして、誰かが文字を付け足す。

『その黒もやがて、泡沫のように消え去り。最後には何も残らないのだ。それには何者も、抗うことは許されない。』

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