Succubus
僕が初めて見た悪魔は、蝙蝠の様な羽毛の無い滑らかな翼に、太いゴツゴツとし、尖った角の生えた頭、長く真っ黒な爪を持つ幼女だった。
可愛らしい幼女の姿だったが、僕が『悪魔』だと思ったのにはしっかりとした理由があった。それは見える程の証拠ではないが、現れた瞬間周りがふっと暗くなって悪寒が走った。今半端じゃない程鳥肌が立っている……。
このゲームで、僕は死にたくない。生き返りたい。
「さようなら。頑張って生き返ってね」
そう、ゴスロリの女性は微笑んだ。そして――
消えた。薄暗さと悪寒と、悪魔と共に――。
歩き疲れたため、僕と蒼生は近くの建物に入り、寝ることにした。
その建物はカラオケ店で、ソファがある。少し硬めだが、休めるだけでも十分幸せだと思う。個室もあり、ドリンクバーもあり、設備は整っている。
「私からの質問の答えは分かった?」
前置きもなしに、蒼生は突然聞いた。
「ヒントもないし、分かるわけがないよ…思い当たる節もないし…」
彼女は暫く考え込んだ。僕は眠く、そろそろ寝落ちしそうになったとき、彼女は言った。
「分かった。じゃあまず、ヒント1:
医者で、研究者のエリートな蒼生のお父さんか…
まだ分からないな…
僕は心地の良い、至福の夢へ潜っていった――
気付くとそこは真っ暗闇だった。
『全ては黒で始まった。』なんだ…この文字は? 頭の中で渦になる。邪魔だ。
「実験は成功したようだ。プログラムは順調に起動中。」
『誰か』が話している……誰だ?
というか…動けない!? 金具で四肢を『何か』に固定されている。
目が開いた…。ここは――?
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