第6話
新学期が始まって、2週間が過ぎた。ジェミーはすっかりクラスに馴染んでいた。休み時間になると、クラスの何人かの女子と校庭のベンチで、スマホで遊ぶようになった。ジェミーの友達はもっぱらクラスの中心的な存在の女子である、アリシアやべサニー、イザベラだった。特にアリシアとはスポーツの趣味が合ったために、暇さえあれば放課後は必ずチャットをするようになった。ツイッターでは一番初めにアリシアにフォローしてもらった。アリシアが他学年の生徒にもジェミーのことを広めてくれたおかげで、学校の多くの生徒がジェミーのツイッターをフォローしてくれた。1日にツイートする数はどんどん増えていき、ジェミーはますますツイッターにのめりこんでいった。
授業中はスマートフォンは禁止、というルールを最初は守ってきたジェミーだが、さすがに最近は使いたい、という気持ちがは大きくなってきた。アリシア達からは授業中にもチャットの誘いがよくくるため、ついいじりたくなってしまう。良心と甘えとの葛藤が続いていた。また、相変わらずひっつめ頭の女子のグリンは愛想が悪く、ジェミーに冷たくあたった。ミラー先生の数学の授業中、グリンと話し合いをしなければならないにしろ、相手があまりにも不愛想でジェミーは本当に困ってしまっていた。さすがにジェミーはグリンに対して不満が爆発しそうになった。
「ねえグリン!私とあなたは相性が本当に悪いみたいね!私の何が気に入らないの?」
ジェミーは腹立ちまぎれにそう聞いた。
「は?相性?」
グリンは面倒くさそうに言った。
「そう。相性が悪いんだよね?」
ジェミーはグリンを睨みつけながら言った。
「あのさ、周り見てごらんよ。誰が真面目に話し合いなんてやってる?」
そうグリンは吐き捨てるように答えた。ジェミーは周りを見た。確かにグリンの言う通りだった。ほとんどの生徒は肘でスマホを隠しながらいじったり、関係のない絵を描いたりしている。
「だからさ、スマホでもいじれば?真面目な子の振りしたって成績は上がらないよ。」
グリンは独り言のように言った。
「ここのWi-Fiはマイアミの中でも最速だよ。」
ジェミーはふきだした。
「そんなこと言う人はじめてなんだけど。」
それを聞いて、グリンはふっと薄ら笑いを浮かべた。そして
「あんた、ツイッターやってんだって?」
と聞いた。
ジェミーは予期もしない質問に少し驚きつつ
「フツーにやってるよ。」
と答えた。
すると、グリンは聞こえるか聞こえないかぐらいの声でこう言った。
「ソルトってやつに気をつけなよ。」
ジェミーが
「どういう意味?」
と聞き返そうとしたとき、チャイムが鳴った。同時にアリシアの
「やっと学校終わったーっ!!」
という甲高い声がした。ジェミーやべサニーもつられて歓声をあげた。喜ぶジェミー達を、グリンはただ無言で見ていた。
あ 西園寺 有里素 @aliciabrown
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